番犬?
ちょっと周りの様子を見てくる、とアストリッドが部屋を出ていき私は危険人物と二人きりにされてしまう。
さっきのブチ切れたアレイストのチカラだかなんだか、その影響が出てないかということらしいんだけど。
花枯らしたり窓揺らしたり火ぃつけたり役に立たん力やな〜、もう。(いや発火は役に立つか。キャンプの時とか)
アレイストは私の腰になついたまま、離れようとしない。
アストリッドによると、急にキレた反動で情緒不安定になってるからそのままにしといてということ。
情緒不安定てガラか、セクハラ魔。
しかしまた物騒なことになると困るので、私はでかいワンコがなついているのだと自分を誤魔化し、この密着に耐えていた。
腰をガッチリ掴まえられた状態で膝枕。
どんなやねん。
でかい図体してしょうがない男やな。
『…I protect you,…』
「え? なに?」
ボソボソと呟かれた言葉が聞き取れず、私は聞き返す。
「守るよ、君を」
腰からようやく腕を外してくれたアレイストがゴロリと仰向けに姿勢を変え、私の顔を見上げる。
「守るから」
――守るよ、
強く意志を秘めたその言葉に私は、
ゾワワワッ。
鳥肌を立てていた。
ひいぃ。外人怖ッ。恥ずかしげに真顔でそんなことよう言えるな、ホンマに! さぶいさぶいっ。
ぷつぷつの出来た腕を擦っていると、そんな私を見ていたアレイストが額に手を当てた。
「ホントにミツキは口説き甲斐のない娘だね……」
一般的な乙女なら頬を染めて恥じらうだろう言葉を、逆毛を立てた猫のように拒否ってる私にため息をつく王子。
きしょいねんもん。言われなれてへんもん。ていうかそんなん言うやつ居んのはテレビの中だけちゃうんか。正気でそんなん言うやつ居ったら見てみたいわ。
ここに一匹居るけど、外人やしな、うちらと感性も文化もちゃうしな。
「いや、まあ、できる範囲で頑張ると良いです」
一応アレイストは親切で言うとるんやし、その気持ちは有りがたく頂いておくわ。
「本気なんだけどね……」
コロリとまたアレイストは体勢を変える。