自信満々従姉弟ズ
「アレイストの作戦、ひとつ大きな欠陥がある。わかる?」
私の出した問いに、揃って首を傾げる従姉弟。こうして並べて見ると、この二人はとても似ている。
変な奴らに気に入られてしまった自分の不幸を改めて嘆きたい気持ちになってしまった。
他にも留学生は居んのになんであたしやねん。イミューンやからか。うおう、堂々巡り。
「欠陥ってなに、ミッキ」
「私が婚約者、えと、釣り合わないと思う、偉いひと、頷かない」
まだるっこしくなって日本語に切り替える。
『――身分違いとか言うやつ出てくるんちゃう? 絶対ボロが出るわ。追及されんうちに別の言い訳考えた方がええと思う』
私の言葉に二人は揃って目を見合わせ、やれやれと首を振った。
なんやねん。
「あのね、ミッキ。だいじょうぶだよ、そんなこと言うやつは一般には居ないから」
「はい?」
「内心でどう思っていても、ジャンシール本家の決めたことに逆らうやつなどこの国にはいない」
私のポカンと問い返す顔がおかしかったのか、目を細めてアレイストは微笑む。
そして言った。
「我らが法律だ」
『うわ何か言いよった! 暴君宣言しよった!』
おののく私に声を上げて笑うアレイストとアストリッド。
マジやから始末におえんわ。
呆れて言葉を探していると、ふっとアレイストのまとっていた空気が変わった。鋭く、冷たく。――何?
「――貴方がそんなに楽しそうなところ、初めて見ましたよ。こちらの女神のせいかな?」
私の前に影が落ちて、涼やかなそんな声がアレイストにかけられた。