聞かざるを貫きたい
アレイストは淡々と言葉を続ける。
「敵にもなりうる存在を、さて、どうしたら良いと思う?」
どないもこないも放っとけばええやんかっ。一人で何ができるっちゅうねん、てゆうか面倒ごとにわざわざ首突っ込もうなんて思わへんから!
……いやいや、関係ない、私には関係のない話でした。
関係ないっちゅうねん。
「ところでミツキ、この部屋は気に入った?」
「は?」
往生際悪く、聞かないふりをする私を別の方向から攻めようとでも思ったのか、アレイストが全然関係ないことを訊ねてきた。
「足りないものは追い追い揃えようね、取りあえず服は寮からアスタが持って来てくれたから」
「待て待て待て! 何の話しです?」
話が見えんっ。ていうか聞き間違いであってくれ!
すとおおっぷ! と停止を願う私に2人の視線が集中する。
「気に入らない? じゃあ別の部屋を用意して……」
『待てい! 部屋って何の話やねん、らちがあかん、アスタ!? どゆこと!!?』
英語だから私が聞き取れてないだけだよね、そうだよね! という私の願いも虚しく。アストリッドはニッコリ笑った。
『この部屋、ミッキの為にあたしとアレイストが用意したんだけど気に入んなかった? なら好きに改造しても構わないと思うよ』
私ときたら、グラグラする頭を支えるのが精一杯。
せやから何の話!?
『学校には車を出すから心配しなくていいよ? 一応敷地内だし』
『誰がそんなハナシしとんねん! あたしの部屋て何なんや!』
呑気にピントのずれた発言をするアレイストに突っ込み、私はハタと気付く。
『……日本語?』
ムギュっと眉をしかめた私をアレイストが見下ろす。コクリと首を傾げて。
『どうしたの、ミツキ』