明らかになってほしくないアレコレ


そんな私の疑問に答えるように、二人が交互に口を開く。

『……だけど稀に暗示の力が効かない人間がいる』
『本当に稀、だけどね。一族の力が一切効かないんだ』
『免疫保持者<イミューン>、と俺たちは呼んでるよ』

『………へー……』

そのお綺麗なご機嫌笑顔に、私は何故か耳を塞いで逃げたいような気分になった。

 イミューンて単語なんか聞いた気がするわあ。なんか誰かさんが言うてた気がするなあ。でもきっと気のせいに違いないし突っ込むのは止めといた方がええなあ。

で、いろいろお話して下さいましたが、私はいつまでここにいればいいんでしょうか。
今日はお休みだけど、少しでも課題を進めておかないと私のレベルだと月末困ったことになるんだけど。
逃避を始めた私の耳にしかし次々と吹き込まれる情報。

『イミューンは我々にとって、とても特別な存在だ』
『……特に、アレイストのような一族の血が濃いものにとってはね』

いや聞きたくない聞きたくないし!

「ミツキ? どうして耳を塞ぐんだい?」
「いいえ! 私、知りません、私聞いてません、というか私関係ない、です!」

手のひらを耳にあて、聞かざるポーズになった私にアレイストが身体を寄せてくる。
耳から手をはずそうと掴まれて、当然ながら力負けした私は、また抵抗できないようにガッチリとアレイストの腕に抱きすくめられた。

『せやからセクハラやっちゅうねん! 気安く触んな変態ぃい!』

私の罵倒を受け、クスクス楽しそうに笑ったアレイストは、耳元に唇を付けてくる。

『ぎぃやあああああああっ! 舐めんなっ、耳を噛むな、変態変態ヘンタイ―――ッ!!!!』

激しく暴れるも、ツボを押さえた拘束技術で私はアレイストの膝の上に抱き抱えられるという恥ずかしい体勢で囚われる。
アスタはニヤニヤするだけで助けてくれないし、メイドさんたちは見ぬふりで食器を片付けている。

 み、味方はいねえ、ここに味方はいねえ……!!

「ねえ、ミツキ。どうしてイミューンが特別なのか知りたくない……?」

耳をくすぐる甘い声。悪魔の囁きだということは分かりきっている。

『まったくもって知りとうないしっ! 離せええぇぇッッ!!』

と、言ってるのに、アレイストの野郎はそのままケロリと躊躇いもなく吐きやがった。
「イミューンは人間だけれど我々の一族に迎え入れることが許されているんだ」

 あらまあ左様ですか!
 許すとはまた傲慢なお言葉ですこと!
 誰も許して要らんし仲間に入りたないっちゅーねん!

 い、いや、私には関係あらへん、関係あらへんけどね!?

「イミューンは我々に冒されない。我々の力が及ばない。自由ゆえに我々の脅威にもなりうる」

 あかん!
 マトモに聞いたらあかんねん!
 あたしは、
 あたしはただの留学生でいたいねん――――!!


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