明らかになるアレコレ
『アスタ結婚しとったん!?』
『驚くトコそこ? 3年目になるよ、結婚して』
『叔父上を押し倒して既成事実を作ってから、プロポーズする計画的な犯行だったね、あれは』
私の皿に何故か甲斐甲斐しく料理を取り分けていたアレイストが補足する。
着替えが終わると私が寝かされていた部屋のテーブルには、1人分には多いだろうという食事がところ狭しと並べられていた。
腹が減っては戦はできぬ、さして抵抗もせずにすすめられるままもむもむと皿の上の料理を片付ける。
食事をする私を微笑みながら見つめるアレイストが気色悪かったけれど、意識からシャットダウンして、ひたすら栄養摂取に努めて。
『ミツキ、これも美味しいよ。食べてごらん?』
そう言ってアレイストが指先に摘まんだバゲットを私の目の前に差し出したため、条件反射で口にする。トマトとチーズ、ハーブが練り込んであるそれは確かに美味しくて、もっと欲しいなと思ったのがわかったのか、アレイストが取り分けてくれた。その様子を呆れて見ていたアストリッドはやれやれと首を振る。
いや、だって。
美味しいものは美味しいんだ。
そしてテーブルの上に食事を用意してくれたあと、脇に控えていたメイドさんたちからは、微妙に動揺している様子が見て取れた。
やっぱりあたしだけちゃうんや。このアレイストがおかしい思うん。
誤解せんといて下さいね〜、
あたしが王子をこき使うとる訳やありませんよ〜、
コイツが勝手にしとるだけですし〜。
頼みもしてないのにピッチャーからオレンジジュースをグラスに注いで下さっているアレイストお坊っちゃまに、ええ加減にキショイ真似は止めにせえと言いたくなってきた。
アスタも止めんかい。
アストリッドと言えば、アレイストの関係者ということは彼女も“そう”なのかと訊ねると、
『エヘッ☆そーなんだ、黙っててゴメーン!』
アッサリそう言いやがった。
『ミッキが信じてくれるか分かんなかったし、嫌われたくなかったんだもん』
などとしおらしく続けていたが、バレたときの私の反応を面白がっていたのは間違いない。
そうでなければ私を煽ってアレイストの弱味を探れなどとは言わないはずだ。