味見的な


「ッきひゃ!?」

アストリッドの登場ですっかり油断していた私の首筋に、アレイストの唇が宛てられる。一瞬の間に、強くその場所を吸われて変な声を上げてしまった。
そんなあたしの反応に喉の奥で笑ったアレイストは、アッサリ私から離れてメイドに何かを指示しに行った。

 いいいま何しよってん!?
 血ぃ吸うたわけやあらへんな、チクて何!

「ったくもう……、独占欲強すぎ。失敗したかな」

アストリッドは、あ〜あ、と呆れ笑いで私の首元を見た。

 何かついとる?

ヤツに舐められたところをゴシゴシ擦っていると、なんとも言えないような可笑しそうな表情をしたアストリッドに紙袋を渡される。

「ミッキ、取りあえず着替えなよ。服、持ってきてやったからさ」
「おおっ」

 良かったー! ピラピラスケスケでずっと過ごさなあかんかと思たー! さすがアストリッド………、

『あれ? なんでアスタがここに居んの?』
『ミッキ遅。今まで必要がなかったから言わなかったけどね――、』
「叔母上。お話は食事をしながらされてはどうですか? ミツキも随分空腹のようですし」

慇懃無礼な笑顔のアレイストの声がそう割り込んで、私は眉間にシワを寄せた。

 あー…?
 ……おばさん? て言うた?
 誰が? 誰の?

「叔母上ゆーなっつってんだろ!」

 すかさず投げられるツッコミ。
私は馬鹿みたいに口を開けて、目の前の二人を呆然と眺めたのだった……。


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