満たされる
一族の能力が効かない、稀なる存在。
我等の血に侵されることなく交わることのできる存在。
女神に呪われた永遠を、
共に生きてくれる、
運命の―――、
「っ!?」
彼女が失われないことを知った俺は躊躇うことなくミツキに口付けた。
思った通り、健康で清くチカラに溢れた血液を喜びと共に飲み下す。その命水を嚥下するたびビクリと震える腕の中の身体が愛しくて、
――そう、やっと俺は自分の気持ちを素直に受け止めることにした。
餌に、
人間ふぜいに、
この自分が惹かれるなんてことがあってはならないと、誤魔化し、戒めていた心を解放しよう。
生意気な、十人並み容姿しか持たない異国の小娘。
――ミツキ、君を好きだと認めよう。
骨は、骨は日本に、とうわ言のようにつぶやいて意識を失ったミツキを抱き上げ、微笑んだ。
残念だね、ミツキ。
こうなってしまっては、もう、
君を骨の一欠片さえ、
逃しやしないよ―――。