絶望と


「ぃや……!」

うつ伏せに押し倒され、そのまま服を裾から捲り上げられる。
潰されるかと思うくらいに強く胸を掴まれて。

 イタイ。キモチワルイ。

「本当はイミューンなどどうでもよいのです――人間の血が入った子など必要ない」

愛撫、なんかじゃない、暴力を奮いながら、私に言うようで、誰に言うわけでもない独り言をクリストフェルは吐き出していた。

「……アレイストが抱きもせず、大切に囲っている女を損なわれて――どんな顔をするのか見たいだけ」

 何なん?
 なんでこないにアレイストのことを。

「――王など、生まれて来なければ良かったのだ」

ぐっと頭を押さえられ、引き伸ばされた服の襟元にクリストフェルの顔が寄る。

 ―――あ、

ブツ、と皮膚が食い破られ。

 ――あ、ぁ、あ、

突き立てられた牙が埋まり、ズルリと吸い出される命の水。

アレイストで慣れたはずのその行為に、私は例えようもない恐怖と嫌悪を覚えた。

血液を啜りつつ、私を嬲るのを止めない男の手が、明らかな意図を持って下肢に触れる。

極限まで血を奪われた私はそれに抗うことも、拒否する言葉を紡ぐことすらできない。

 キモチワルイ、イヤだ、イヤだイヤだ――……!


疲弊した意識が私を闇に落とす刹那。


世界が、揺れた。



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