解放
侵入者一人一人の魂に触れて、識別する。
俺の意識に引っ掛かった、力の浸透が低い隷属者達を片っ端から絡め取っていく。まだ支配から逃せる段階だから。
そのまま力で縛って死なない程度に精気を奪う。
バタバタと倒れる仲間に気を払うことなく突き進む、重度の鎖がついた者については今は無視。
それなりに部下を信用しよう。
本音を言えば、別に処理してしまっても構わない。
だが、それはきっとミツキが厭うことだから――手間だが、戻せるものは戻そう。
人間嫌いがよくもこれだけの使役を作ったものだな。
兵を起こすのに、物量作戦でも考えていたか?
俺なら面倒でやらないな、第一、一族の制圧など、一人で充分だ。
この騒ぎが終わったら、それも含めてこれからのことを考えよう。
いい加減、ジジイ共の暗躍も鬱陶しくなってきた。
閉じた屋敷の回りに群がる者が一定数になったころを見計らい、もう一度、力を見せつけるように解放する。
上位者の力に触れて、行動不能になった奴から部下が拘束する手はずになっている。
それでもなお、向かってくる者には――
「さあ。かかってくるがいい」
力任せに扉や、窓をぶち抜いて、屋敷内に入ってきた者たちに、最後の宣告をした。