狩人《カリビト》


「ええと、お世話かけました、ごめんなさいありがとう」

揃った3人に改めて私は頭を下げた。
朝食を自室で済ませてから、アレイストの書斎に行くと、そこではアレイストとアストリッド、ロルフが難しい顔をして情報交換していた。

 ハルさんとかボクちゃんはどないしとるんやろ、と頭をかすめたけれど、まだあの辺の人とは会いたい気分じゃなかったので、取りあえずあと回しにする。

頭を下げた私に、アレイストががっくり項垂れた。

「……ミツキ…、君に謝られると、俺たちの方がハラを斬らなきゃならなくなるから、やめてくれ」

 せやけどケジメつけとかんと。それに、

「アルジェイン盗られてしまいました……」

アレがお守りとか、貴重なものとか、アレイストの一族にとって大事なものだという以前に、肌身離さず持っていたこともあってかもう私の一部みたいなものだったのに。

 あたしのかわいい銀の娘がっ。
 猫被りリーリィにっ。

 ションボリする私の頭を撫でて、そのことなんだが、とアレイストが言いよどんだ。

「リリエラ・ヒルトンは“狩人”だった」

 ……“しるばー”?
 って、銀?

はてな、という顔をする私にアレイストは日本語に切り替える。

『日本語で表記するなら、狩人《カリビト》――いわゆる、ハンターのことだよ』

かりびと。
狩る、ひと?

『通称して、“銀”と呼ばれることもあった。――銀は魔を祓うと言われているからね』

えーとえーと、整理しよう。

リーリィは狩人。
狩人はハンター。
狩人は銀。
銀は魔を祓う。
銀は、アレイストたちの弱点……、

『それって天敵ってことやんかー!』
「中世ならいざ知らず、まさかまだ存在するとは思わなかったけどね。……俺の下僕であるロルが、女相手にこの様だ。普通じゃない」

ヒラリと手で示されたロルフが苦笑する。

 げ。ロルフのこの怪我リーリィにやられたんかい。あんな可愛らしい様子しとってどないな女やねん。二重人格! 二重人格ッ!!


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