くちづけ
なんか今聞き苦しい単語あったん気のせい!?
間違いなく放送業界でピーとかブーとか鳴らされて、“〜〜しばらくお待ち下さい〜〜”系のテロップ流れるような!
「気のせい気のせい」
いや、心ん中のひとり言に答えんといて!
背筋に寒気が走るような可愛らしい微笑みを浮かべたアレイストは、ふに、と親指で私の唇を押さえた。
ふに、ふに。
何を考えているのか、繰り返し触って。口を開く。
「まさかもしやそんな、初めて、だったとか言わないよね……?」
「ノーカウント! 認めない、カウントしないです!」
あんなんファーストキスとか認めるかっ!
叫んだ瞬間、塞がれた。
「………………………??」
んぅ、と苦しくなって呻いた自分の声で我に返る。
え、ナニ。
ナンで。
ちゅ、と自分とアレイストの間で生まれる音に血が下がるやら上がるやら、自覚した途端私は逃げ出すべくジタバタ暴れだした。
なんで!
なんでキスしとんねんーーー!!!
「……消毒だよ、ミツキ。キモチワルイの消さないとね?」
え、そうなん?
確かにもうクソッタレの感触なんて分からんようになってしもてるけど、
……え、なんかおかしない?
「、んん……っ」
息が苦しくなると、一瞬解放されて、また“消毒”される。
小さい頃海で波に呑まれて、溺れかけた時のことを思い出した。
あんな、カンジ。
がぼがぼがぼ……、
とりあえず、溺れないように手近にあるものに掴まると、ぎゅっと抱きしめられる。
………よお分からんけど、やっぱり、あれとこれとは、違うことだけは、判った。