女の子同士のお話
可愛らしい彼女からそんな言葉が出てくるのもビックリだけど、
何故、
よりによって、
そんなことをこの私にご教授願うのか理解できず、しばし思考停止。
彼氏いない暦十七年やっちゅーねん!
コイといったら『鯉? あんまあたしの口には合わんな〜、骨がチクて痛いねん、あと水っぽいしー。』なんてコイ違いの知識しかないというのに、
何故に一足飛びに男の誘惑の仕方。
固まって無言になった私に自分の勢いが恥ずかしくなったのか、彼女は私からそっと手を離して、今度は赤くなった自らの頬を押さえて恥じらう。
「ミッキさんはあのアレイスト様が片時も離したくないなんて思うくらいの女性なんですもの。きっと、ほら、あの、男の人を夢中にさせるコツとか、ご存知なんじゃないかなって……」
いやものすっごい誤解ある、それ、誤解やああぁ!!
あたしどんな魔性の女やねん!
アレイストめえええ!
あんたがいらん作戦考えるから、めっちゃ間違ったミツキ像が浸透しとるやないけ!
こんな好みの美少女に、男殺し(そこまで言ってナイ)て思われとるなんて、悲しすぎるーーー!!
と。んん……?
リーリィがそんな事を言うってことは、夢中にさせたい男がいるということ?
「リーリィ、好きな人がいます?」
直球にそう訊ねると、ぱっと頬を染めて、小さく頷く。
なんちゅううらやましい男や!
ていうか誘惑する必要なんかあらへん、そのでっかいおめめを潤ませて、さっきみたいにソイツを見つめたらイチコロやで!!
「私のお慕いしてる方、少しアレイスト様に似ているんです。だから、彼とお付き合いされているミッキさんに相談に乗っていただけたらなって、思って……」
ほうほうナルホド。
それなら少しわかるけど、アレイストに似てるってどっちの?
猫かぶりエリート学生か、変態セクハラ王子か。
……どっちにしろあたしがお役に立てるようなことはないと思うんやけど。
しかしお上品な彼女の仲間である良家のお嬢さん方には、なかなかそういう話は出来ないんだろうなと理解し私はいいですよと安請け合いしてしまう。
ぜんぜんふつうの友達も欲しかったし。
「相談、無理だけど、お話聞くくらいならできます」
「いいの、それで! ありがとう、ミッキさん」
久々に、普通の会話しとるなあ……、と、ちょっとカンドーした。