待ちながら
「みなさん、お疲れ様ですー」
私はすれ違うファイター達にお疲れ様と返し、控室を回っている。
控室は全15部屋あり、ドアを開けては見回りしているのだ。
各部屋を回り、最後の部屋になったとき、向こう側からいきなりドアが開いた。
「わあ!ななしさん!」
「うわあ!ってピット君!?」
突然開かれたドアから現れたピット君は私は思わず驚いてしまった。ドアを開けたピット君も同じ反応だ。
私は気を取り直して、ピット君に謝った。
「ご、ごめんなさい!」
「い、いえ、こっちこそすいません!」
「じゃあ、私は部屋を確認するので」
私はそう言って控室に入っていった。ピット君を追い出すような形になってしまったことについては申し訳ない。
一通り控室を見て、タオルを回収していく。そして確認し終わり、控室を出るとピット君がいた。
「あれ、ピット君はいかないんですか?」
「いやあ、ななしさんを待っていたんです」
「私をですか?」
「はい、一緒に行こうと思って。あ、あと荷物持ちますよ」
ピット君はそういって手を差し出した。そんなことをピット君に頼むわけにはいかない。
「いいえ、大丈夫ですよ」
「そんな!僕が持ちますよ」
ピット君はそういって私の手から荷物を自分の手に移した。行動が早いと思いつつ、私は「ありがとうございます」と礼を言った。
ピット君は少しはにかみながら「いいですって、これくらい」と荷物を持ったまま答えた。
「じゃあ、タオル、洗濯室に置いておきますね」
「はい、ありがとうございますね!」
「いいってことですよ!」
ピット君はそういって洗濯室の方へ行ってしまった。と思ったがすぐに戻ってきた。
「じゃあ、食堂へ行きましょう」
「はい」
私とピット君は食堂へ足を向かわせるのだった。
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