雨に降られて


私は買い出しのために街に出ていた。メモに書かれたものを買い終わり、今から館へ戻るところだ。
その時、雨が降り出した。傘を持ってきてなかったので雨を防ぐ手段はなかった。
幸い大降りではなかったので走って館へ向かうのだった。



「はあ、はあ、はあ……」

なんとか館へ戻ってきた。袋の中の物は少し濡れてしまい、かくいう自分も濡れてしまった。
このまま物を置いて風呂場に行こう……と思っていると誰かが手を振ってきた。インクリングこと通称イカちゃんだ。
イカちゃんは私にそばに駆け寄ってきた。

「ななし、お帰りー!」
「あ、うん、ただいま」
「ってずいぶん濡れてる!大丈夫?」
「うん、今からお風呂場に行こうと思ってるよ」
「ちょっと待ってて、タオル持ってくる!」

イカちゃんはそう言って風呂場の方向へ消えて行った。と思ったらタオルを持って戻ってきた。
イカちゃんからタオルを受け取る。「ありがとう」と返すとイカちゃんはえへへと笑った。

「今日天気予報雨だって言ってたよ」
「ごめん、天気予報見るの忘れちゃってた」
「もー、せめて傘ぐらい持っていきなよ!今日一日中曇ってたし」
「今度から気を付けるよ」

イカちゃんはプリプリ起こりながら私を叱った。私のミスとはいえ今度から気を付けよう、と思うのだった。
そのままお風呂の方へ歩き出そうとすると、イカちゃんが買ったものを持ってリビングの方へ歩き出そうとしていた。

「じゃあ買ったものはマスターに届けるからね!」
「ありがとう」
「早く風呂入ってね!風邪ひかないようにね!」
「うん、イカちゃんも無理しないでね」

私はそう言って風呂場の方へ向かうのだった。イカちゃんもまた、リビングへ歩き出すのだった。


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