まだまだヒヨッコだな


私は控室を回っていると、ある人物を発見した。アイクさんだ。
アイクさんはこちらに気が付くと、私の方へ寄ってきた。

「なんだ、ななしか」
「アイクさん、どうしたんですか?」
「いや、どうもしない。それよりあんたは掃除か?」
「はい」

私は箒をアイクさんに見せる。アイクさんは箒を眺める。
そのまま控室を見回し、何時も持っている大剣ラグネルを抜いた。抜いたのを見て私は慌ててアイクさんの腕を掴んだ。

「ちょ、ちょっと待ってください!」
「なんだ」
「何をするつもりですか!?」
「……そのままこの箒で打ち込んで来い」

突然何を言いだすんだこの人は。私は頭に「?」を浮かべながらアイクさんを見つめた。
アイクさんは早く来いと言わんばかりに待機している。こういうときは思わず乗っかればいいのかと思いつつ、箒をアイクさんのラグネルに振り下ろす。ガキン、と鈍い音がして私は思わず後ろへのけぞった。

「痛っ……!」
「中々悪くない。が、まだまだヒヨッコだな」
「って私はファイターじゃありませんよ!」
「いきなりすまなかった。またな、ななし」

アイクさんはそう言って、控室を出て行った。残された私は控室を掃除する。
でもラグネルが当たったときの鈍い音は癖になりそう、と私は1人思うのだった。

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