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女王騎士になってからというもの、忙しさが板について、正直休日を貰っても暇で暇で仕方がない。私以外は皆揃って何か美味しいものを食べに行ったりして楽しんでいるようだが、生憎他人と慣れ合うのは嫌い、というか苦手だ。どうも私は、言葉というものが拙くて、どんな時だって想いは正しく伝わらない。


いくら優秀な成績を収めても極度の口下手じゃあな、と自分自身に呆れながら空を仰ぐと、橙色の太陽は既に半分以上が沈んでいて、何だか少し不機嫌そうに思えた。

もうすぐ日が暮れ夜になるというのに、王都アルシリアの活気といったらそれはもう盛んなもので、人の波は衰える気配を見せない。人込みを歩くのも疲れたので、路地に入って歩を止める。自分にはこういう場所が似合っていて、一番落ち着く。
外の世界は眩し過ぎるんだ、自分に相応しい場所なんて自分が一番よく分かってる。親に言われるがまま女王騎士になったが、そんなあからさまに太陽に照らされたような役職。私には向いてないんじゃなかろうか。
灯りの少ない路地の反対側から、誰かが歩いて来る。相手は誰か分からない。だけど私に言わせてもらえばそれだけで確証を得ることができた。


「……よぉ、何やってんだよこんなとこで」

「あ…?……あぁ、お前か」


顔なんて見なくても解る、声だって聞こえなくても解る、偶然の通りすがりを装って私を捜しに来る物好きなんて一人しかいないのだから。


「帰るぞ、なまえ」


私の返答も聞かず強引に手を引いて早足に進む。
なぁジェダ、私は知っているよ。いつも不機嫌な顔をしているのは、照れ隠しだってことを。
だけどそんなお前が、私にとっての太陽なんだ。





不機嫌な太陽





眩し過ぎる太陽なんていらない

私だけを照らしてくれれば充分だなんて、

そう言ったらお前はどんな顔をするかな。


END


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