『美坂家の秘め事』7

 栞は一番可愛がってくれている拓兄に懐いているのは事実で見た目もいい拓兄と休日に買い物に出掛けたりするのが好きだった。

 拓弥は嬉しそうに笑うと栞を抱き上げて自分の膝の上に乗せた。

「拓兄ぃっ!」

 驚いた栞は慌てて膝の上から降りようとした。

「どうした。昔はよくこうやって抱っこしてやっただろう?」

 それは小学生の頃の話で…私はもう大人なんだってば!

 栞がもがこうが暴れようが構う事なく拓弥は栞を膝の上に抱いたまま離そうとしない。

「恥ずかしいから下ろしてってば」

「そうか?俺の彼女はこうやってすると皆喜んだぞ?」

 あーそうですか!

 栞がムッとした表情を浮かべたのを拓弥は見逃さなかった。

「ん?何で膨れてるんだ?」

 拓弥は子供をあやす様に栞の頬を指で突付いた。

「膨れてなんかないっ!」

「嘘つけ。こんなに口を尖らせてるのにか?」

 アヒルの様に尖らせた唇を拓弥は人差し指で触った。

 子供扱いされているようで気に入らない栞は拓弥の指に噛み付いた。

「…っつ!」

 いきなり指に噛み付かれて拓弥は顔をしかめた。

 拓弥の人差し指はすっぽりと栞の口の中に入っている。

 拓弥は何かを思いついたのか心の中で意地悪い笑みを浮かべている。

 拓弥の指に噛み付いている栞には拓弥の企みには全く気付く様子もなく得意気な顔をしていた。

 拓弥は指を抜こうとゆっくり引き始めた。

 栞は離さない!と言わんばかりに唇に力を入れるが拓弥の引く力の方が強くズルズルと指が引き出されていく。

 第一間接まで出て後少しというところで拓弥は指を中へ戻し始めた。

「(えっ…?)」

 栞は目をぱちくりさせている。

 拓弥ゆっくりと指を動かし始めた。

 まるで口の中を犯されているかのような動きに栞は慌てて口を開くと拓弥はしっとりと濡れた指を残念そうに引き抜いた。

「もう終わり?」

 栞を煽るような挑戦的な瞳。

「お、終わりにしてあげるのっ!」


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