『美坂家の秘め事』78

「さてと、ハンバーグだったなー。それとーおっ、飯も結構あんじゃん」

 直弥は手際よく冷蔵庫が材料を出し炊飯器を開けた。

 直弥は自分用の黒のソムリエエプロンを細い腰に巻いてキュッと締めた。

 肩まであるサラサラの茶髪を無造作に束ねる。

(うわぁ…)

 イケメンカフェの店員ですか?と聞きたくなった。

「今日は直弥のスペシャルプレート!」

「スペシャルプレート?」

「ふわふわ卵のオムライスとロコモコ風ハンバーグと温野菜サラダとオニオンスープ!」

 ビシッと親指を立ててポーズを決めた。

「すごいっすごぉーい!直兄ってほっんと料理得意だよねー」

 聞いただけで涎の出そうなメニューに栞は夢心地だ。

「得意じゃねぇって好きなだけー。栞は出来るまでテレビでも見てのんびりしてろー」

 その言葉でハッと我に返って自分のエプロンに手を伸ばした。

 エプロンを着けながら直弥の横に並ぶ。

「私も手伝うよ!」

「…いいけど。邪魔したら追い出すよ?」

「ひどいっ!これでも上手になったんだってば!」

「はいはい。じゃあ栞は野菜洗って?」

 ニヤリと笑った直弥が用意した野菜を流しにドンッと置いた。

 まだまだ育ち盛りの優弥と兄二人の食べる量は半端ない、当然用意する食事もまるで給食のオバサンにでもなった気分になる。

「にんじんは丁寧に洗ってな?皮のまま使うから」

「えぇ!?皮剥かないの?」

「皮に近いほど栄養があるからな。見た目は悪いけどその方がいーんだよ」

 へぇ〜と栞は感心しながら手に持ったにんじんを念入りに洗い始めた。

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