『美坂家の秘め事』32

「あぁっ…ほんと可愛いおっぱい」

 目の前でぷるんと揺れた栞の胸を掴むとちゅぱちゅぱと吸い付いた。

 栞はくすぐったそうに声を立てて笑いながら拓弥の髪を撫でた。

「二人でするんだから二人とも気持ちよくならないと意味ねーだろ?」

「んぅっ…あぁっ…」

 下からガンガン突き上げられるというより揺らされている。

 キツク締め付けていただけの栞の体は少しずつ慣らされて柔らかく拓弥を包み込み始めた。

「自分だけ気持ちよくなりてーならオナニーで十分じゃん」

 拓弥は栞の胸に顔を埋めている。

 時々腰を揺らしながら両手で乳首をくりくりと転がしている。

(私も感じなかったわけじゃないけど…)

 ここまで感じたことのない今までのはやはり男本意の行為だったということになる。

「拓兄?」

「ん?」

「拓兄とエッチした女の子はみんな気持ち良かったのかな?」

 拓弥は動きを止めて顔を上げた。

 血とは違う繋がりを持ってしまった二人の目が合う。

 栞はジッと見られて思わず視線を逸らした。

「どーだろ。まぁ本音は分かんないけど俺はそう思ってるよ」

(拓兄でも分かんないもんなんだ。)

 感じる演技をして喜んでいた男達の顔が浮かんだ。

(私は本当に気持ちいいんだけどな…)

 言葉にせずにチラッと拓弥の顔を見る。


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