『美坂家の秘め事』24
「信じられない」
冷蔵庫から持ってきた水のペットボトルを受け取った栞が拓弥を睨みつける。
「つい我を忘れてしまったなー」
「嘘ばっかり!」
すっかり怒り心頭の栞に苦笑いを浮かべる。
「もうしないって」
「当たり前!ってこんなことももう二度としないんだからね!」
「ほら、そんなに怒ってないで続き…。早くしないと優弥が帰って来るだろ?」
そう言って拓弥は部屋の時計を指差した。
もう16時を回っている。
(もうそんなに経ってたの?)
まだ前戯だけでこんなに時間が経っている事に栞は驚きを隠せない。
今までしてきた相手は愛撫もそこそこにすぐに挿入したがった。
(拓兄のエッチって…)
精液を飲まされた事には腹を立てたけれど今までよりもずっと感じているのは間違いなかった。
ジッと見ている栞の視線に気付いた拓弥が微笑む。
「何だよ。水飲まないのか?」
ペットボトルを持ったままの栞に笑いかけて拓弥はペットボトルを持ち上げると先に口を付けた。
「ん…」
指先でクイクイと栞を呼ぶと水を含んだ口を押し付けた。
開きかけの栞の口からは水が零れて僅かな量の水だけが口の中に流れ込んだ。
「ばか、ちゃんと飲めよ」
拓弥は再びペットボトルから水を口に含んだ。
今度は栞も口を開けて拓弥から水を受け取った。
喉の奥に纏わり付くようなべとつきが水と一緒に流されていく。
「あぁ…美味しい」
笑う栞を見ながら拓弥もゴクゴクと水を飲んだ。
拓弥は喉を潤すと濡れた口を手の甲で拭い栞をベッドに押し倒した。
「んじゃ、再開な」
お互いに水を飲んで冷たくなった舌を絡めた。
ひんやりしていた舌もあっという間に熱さが戻ってくる。
「んんっ…ぅぅ」
二人はお互いの体を抱きしめながら大きく口を開けて貪るように舌を絡めた。
―24/138―
[*前] | [次#]
コメントを書く * しおりを挟む
[戻る]