『美坂家の秘め事』125

 拓弥は少し体を後ろに倒して片手で支えると栞の体を確認するように手を走らせた。

 頬に触れた手はゆっくりと首へと下りそのまま華奢な肩を撫ですーっと下りる。

「んっ……」

 くすぐったいのか栞は身を捩じらせて声を漏らした。

 それでも拓弥の手は胸の横を通り過ぎて脇腹に辿り着くと今度は反対側へと移動してゆっくりした動きで上と移動した。

 栞は拓弥の指先が触れたところが熱を発しその熱が体中に広がっていくのを感じた。

「あぁっ……」

 色を滲ませた声が漏れるようになる頃には拓弥の指は体の中央を這い鎖骨を弄っていた。

 まだ肝心な所に触れられてもいないのに栞の体は全体に薄く色づき始めていた。

「もう勃ってるね」

 まだ触れてもいないのにツンと上を向いたピンク色の蕾は拓弥の言葉で恥ずかしそうに震えた。

 それでも指はそこには触れずに鳩尾から柔らかい胸の下を往復していた。

「栞の乳首は小さくて可愛いね。乳輪も小さいしすごく可愛い。遊んでた割には色も綺麗なピンクだ」

 拓弥は意地悪な口調で感想を述べた。

 イヤイヤと栞が首を横に振るたびに胸も一緒に揺れる。

「目の前でおっぱい揺らして。いつもこうやって誘うの?」

「そんな事してないのにぃ、意地悪言わないでぇ」

「意地悪? おかしいなぁ……その割りにはさっきよりも乳首が大きくなったみたいだ」

 そんなことはないけれど拓弥はワザとそう言いながら胸ばかりを見た。

 まるで視姦しているように拓弥の視線はねっとり舐めまわすように眺め指先が動くたびに声を漏らす栞を観察している。

「もう、意地悪ばっかりぃ……」

「こういうの好きかと思って」

 少し不満そうに口を開いた栞に拓弥はおどけたように答えた。

 拓弥は栞の体から手を離すとベッドに手をついて両手で体を支えた。

「嫌いじゃないけど……好きでもないもん」

 少し拗ねた口調の栞を可愛く思いニンマリした拓弥は口を開いた。

「触って」

「え?」

「乳首、触ってごらん」

 最初は聞き間違いかと思った栞だが二回目の拓弥の言葉にそれが聞き間違いじゃないことが分かった。

 人前で触ったことのない栞は困ったように視線を泳がせるとチラッと拓弥を見た。

 拓弥は何も言わずに視線だけで栞を促した。

「触るの……?」

「ちゃんと聞こえたでしょ? 栞が触ってるとこ見せて」

 いつもよりも意地悪な拓弥はニッコリと笑って見せた。

 一日はまだ始まったばかり優弥が帰る夕方までたっぷりある時間に拓弥は色々と考えをめぐらせていた。

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