『美坂家の秘め事』124

「おいで」

 ベッドに移動した拓弥は栞に向かって手を伸ばした。

 優しく差し出された手にソッと触れるとそのまま握られ引っ張られた。

 ベッドに腰掛けていた拓弥は栞を膝の上に座らせると髪の中に両手を差し入れて顔を引き寄せた。

 二人は熱っぽい視線をすぐそばで絡ませると唇が触れると同時に目を閉じた。

「チュッ、チュッ……」

 唇が触れ合うだけの軽いキスを飽きることなく交わした。

 お互いに背中に腕を回して抱きしめながらからかうような軽いキスを楽しむと顔を傾けて深いキスを求めた。

 閉じている唇を開くように拓弥は舌先で栞の唇をなぞる。

 すぐに開いた唇は拓弥の舌を受け入れて舌を絡ませて歓迎した。

「ンッ……ふ……っ」

 鼻から吐息を漏らし二人の唾液が交じり合う音は激しくなる。

 拓弥の舌は栞の口腔を探るようにねっとりと動き歯や舌の裏までも舐め柔らかい栞の舌を弄んだ。

 大きく開き重なった唇の間から栞の甘い声が漏れる。

 拓弥は腰を抱いていた手を栞のパジャマの中へと滑り込ませた。

 しっとりと吸い付くような肌を味わうように腰から脇腹を撫で背骨を確認しながら上がっていく。

「はぁ……っ……」

 気持ち良さそうに目を閉じる栞を見ながらゆっくりと動かしていた手は肩甲骨に触れた。

 それまで何も指先に触れなかったことでパジャマの下に何も見につけていないことが分かった拓弥は滑らかな背中の上に絵を描くように指先を滑らせた。

「んぅ……拓兄、くすぐったい」

 力を入れていない指先で脇腹や背中を触られて栞は体をくねらせた。

 それでも拓弥の指は動きを止めることなく脇腹からそのまま上へと移動して柔らかい胸の横の辺りを優しく触った。

 手の動きは限りなく優しいが栞の口腔で動く舌は激しさを増していた。

「やらしい顔……」

 唇を離した拓弥が頬を上気させだらしなく唇を半開きにした栞を見た。

 飲み下せなかった唾液が唇の端から伝い、潤み始めた瞳で拓弥の顔を見上げている。

「ボタン外してごらん」

 パジャマの下の手を動かしたまま栞に声を掛けた。

 何の抵抗もせずにボタンに指をかけた栞は上から一個ずつボタンを外し、外し終えるとゆっくりと脱ぎベッドの下に落とした。

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