女々しい俺の恋 【19】
「何考えてるの?結婚なんて大事な事を俺が決めていいわけないだろ?」
持っていたカップをドンッとテーブルの上に置くと中のコーヒーが外に飛び出した。
俺は構う事なく言葉を続けた。
「もう子供じゃないんだ、自分で考えて自分の決めた事に責任持たないとまた後で泣く破目になるよ?」
俺にしてはいつになく厳しい言葉だったのかもしれない。
愛ちゃんは驚いた顔をして俺を見つめている。
「あ…うん、そうだよね」
力なく呟いた愛ちゃんの声に言い過ぎたかもしれないと胸の奥が痛んだ。
「ナルちゃんは…結婚とか考えた事ある?」
「俺は…」
結婚なんて正直考えた事がない。
そどころか俺が愛ちゃん以外の女の子と付き合う所も想像する事すら出来ない。
「この前の子…とか…」
「あ、あの子は会社の女の子で…な、何か相談があるからって」
俺は必死になって嘘を付いている。
今更どう思われたって俺達の関係が変わる事なんてないのにそれでも彼女との事を変に思われたくない。
「そっか、ナルちゃんは優しいから頼りにされているんだね」
その言葉に胸がぽわぁと暖かくなる。
俺の事優しいって思ってくれているんだと言葉を噛みしめる。
「私が結婚したらきっとこうやって朝から部屋に押し掛けたりとか一晩中泣き明かすとか出来なくなるんだよね」
何だよそれ…。
何でそんな寂しそうな顔してそんな言葉を言うんだよ。
まだ望みがあるんじゃないかって変な気になるだろ?
「そりゃそうだろ、人妻が男の部屋なんか来るもんじゃないよ」
ねぇ、愛ちゃん。俺はちゃんと笑えてるかな?
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