女々しい俺の恋 【18】

 コーヒーの入ったカップを受取った愛ちゃんは話を続けた。

「今まで付き合って来た人の中で一番いいと思うの」

 そんなにいい男なんだ。

 まぁチラッと見ただけでも顔だけは良かったよな俺みたいなガキとは違って大人の男って感じだった。

「付き合って欲しいって言われたんだけど…」

「良かったじゃん」

 俺は手に持ったカップから目を離さずに答えた。

 今まで何度もあったシチュエーションだ今更自分の気持ちを押し隠す事なんて朝飯前だ。

「結婚を前提に付き合って欲しいって…」

「えっ?」

 体の血が下に全部下りて行くみたいにサーッと体の奥が冷たくなっていくのを感じる。

 いつかの亘の言葉が現実になった瞬間だった。

 あの時今度こそ告白しようと決めていたのにグズグズしていた俺は会社の子に告白されてその場面に遭遇した愛ちゃんにただの友達と言われた。

 俺は何て返事をすればいいんだろう。

「け、結婚かぁ…アハハ…すげぇ」

 笑いたくなんかないのに何で笑顔が出て来るんだろう。

 こんな時普通はなんて言うんだ?おめでとうって言ってあげた方がいいのかな。

「どうしよう、ナルちゃん…」

 どうしようって…それを俺に聞くのか?

 聞かれた俺は何て答えればいい?

 愛ちゃん…やっぱり君は愛ちゃんだね。

「愛ちゃんはどうしたいの?」

 俺はただの友達、中学からのくされ縁のただの友達、何度も何度もその言葉を心の中で繰り返す。

「私は…どうしたらいいか分からなくて…結婚なんてまだ考えてなくて…だからナルちゃんが決めて」

「は?」
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