女々しい俺の恋 【17】
そして長かった一週間を終えたその週末の朝。
ピンポン、ピンポン、ピンポン…
朝から玄関のチャイムが連打される音で目を覚ました。
「誰だよ…ピンポンダッシュだってもっと遠慮がちに押すだろぉ」
休みの日の朝からこんな風に起こされて頭に来た俺は乱暴に玄関を開けて犯人の顔を思いっきり睨みつけようと顔を上げた。
「あ、あ…愛ちゃん?」
そこにはあの日の夕方会ったきりの愛ちゃんの姿があった。
「まだ寝てたの?」
「あ…うん」
すっかり怒りはどこかへ飛んでいってしまった。
俺はポカンとした顔で愛ちゃんの顔を見ている。
「入っていい?」
俺が返事をするよりも早く愛ちゃんは玄関に入って靴を脱いで上がっていた。
俺は慌てて扉を閉めると後を追った。
休みという事もあってスッピンでくラフな格好をしている。
「どうしたのこんな朝早く…用事があるなら電話してくれたらそっちに言ったのに」
どう見ても女の子をあげるような部屋じゃない事は一目瞭然。
けれど愛ちゃんは構う様子もなく唯一ちゃんと座れるベッドに腰掛けている。
俺はどこに座ろうか迷ったあげくベッドの隣に座る勇気は出なくて床にあぐらをかいて座り込んだ。
「相談したい事があって」
その表情からすると相当深刻な事なのかと心配になる。
「うん、いいよ。そうだ…何か飲む?」
これから他の男の悩みを聞くっていうのに俺は優しく愛ちゃんをもてなそうと台所へ行って湯を沸かす。
「この前ね…会社の先輩に誘われて食事に行ったの」
台所で背を向ける俺に話しかけてくる。
あぁ…その人なら俺も見たよ、きっとこの前の奴でしょ。
「5歳年上で、背も高くって、格好よくて話も面白い人なの」
「そうなんだ」
なんて曖昧な返事の仕方なんだろう。
俺は沸いたお湯でコーヒーを入れると愛ちゃんの好みの分だけ砂糖とミルクを入れて持って行く。
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