女々しい俺の恋 【13】
ベンチに座る二人の前にきょとんとした顔の愛ちゃんが立っている。
「あれ?お邪魔だった?」
「いや…別に…」
今告白される所だったんだよ…なんて言えるわけもなくて何となく決まりが悪くて言葉を濁す。
隣にいる桐谷さんをチラッと見るとさっきみたいに顔を赤くして下を向いてしまっていた。
「き、桐谷さん…」
心配になって声を掛けると顔を上げてくれた。
けれどその顔を見たら余計に心配になって声を掛けた事も一緒に帰る事を承諾した事も後悔した。
「水口さん…の…彼女ですか?」
膝の上に置いた手をギュッと握っている桐谷さんは声を絞り出すように俺に聞いてきた。
「ち、違うよ…コイツは…」
何て言おうか迷ってしまった。
友達…くされ縁…きっとこのどっちでも正しいんだろうけど愛ちゃんの前ではそんな言葉で俺達の関係を言いたくなかった自分が勝った。
「あっ!気にしないで私達ただの友達だから、中学からのくされ縁なの!」
おれのそんな些細な抵抗を愛ちゃんは簡単に打ち砕いた。
「あ、そうなんですか」
愛ちゃんの言葉に桐谷さんはホッとした表情を浮かべてようやく笑顔を浮かべた。
「ナルちゃんってばこんな可愛い子がいるならもっと早く紹介してよー水臭いなー!じゃあ今度は一緒に飲みに行こうね!」
ムカツクくらい爽やかな笑顔で俺の肩をバンバンと叩くと軽い足取りでアパートの方向へと歩いて行った。
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