『番外編』
七夕伝説になれなかった二人4
そして電話の向こうの二人はというと……。
陸はいきなり切れた電話に首を傾げたが、掛け直すこともなく電源を切りベッドの上に放り投げた。
「よしっ、これでもう邪魔は入らないっと。ごめんね、麻衣。お待たせ」
「り、陸……っ! 仕事、休みじゃなかったの??」
「休みだよ? だって俺は昨日ちゃんと休むって連絡したし」
「で、でも……今の電話は!?」
「知らない。ね……そんなことよりさ、このままじゃお互い辛いでしょ?」
身体を繋げたまま上半身を起こしていた陸は肌をぴったり寄せると緩く身体を揺らす。
繋がった部分がクチュと音を立てると麻衣は白い喉を差し出すように反らし薄く開いた唇から吐息を漏らした。
「ね? 俺も麻衣も……まだこんなに熱い」
「だ、けど……陸……ッ」
「シー」
身体の下から逃れようとする麻衣に陸は汗ばむ額にキスをして宥める。
胸と胸を隙間のないほど密着させ、顔の両側に肘を付くと濡れた髪を撫でながら触れるだけのキスを繰り返した。
「麻衣はこのままでも平気?」
まるでダンスでもしているかのようにゆったりと身体を揺らしながら陸は首筋に唇を這わす。
電話の最中にわずかに失った硬さはあっという間に戻り、柔らかく濡れた麻衣の中はまるで最初から対であるかのように陸を包み込む。
「で、でも……ん」
「どうしてこの口は素直じゃないかなぁ。身体はいつだって俺のことが好きって言って離さないのに」
「そ……んなこと」
「ほら……また、嘘ついた」
二人の身体に隙間を作るため肩に手を置き離そうと試みる麻衣に陸は仕方ないなぁと笑った。
「嘘つく余裕なんてもうないよ?」
「あぁっ!!」
言い終わるよりも早く腰を強く突き上げると麻衣は悲鳴のような声を上げ、離そうとしていたはずの手は縋るように陸にしがみついた。
奥深くまで挿し込んだ自身をギリギリまで引き抜くと再び挿し込むと本格的な律動を始めた。
「ん、んっ……ヤッ、メ……」
「なぁに? それはもしかして俺に対する挑戦状ってこと?」
「ち、違……っ」
違うと首を横に振っても陸はまったく聞く耳を持たず、身体を起こすと麻衣の膝裏に手を入れてグッと押し開いた。
「こんな格好……や、だっ……」
「何で? やらしい麻衣のあそこが俺を咥え込んでるのが丸見えだから?」
陸が自分の目に映る物をわざとらしく口にすると麻衣は激しく首を横に振った。
本気の拒絶とは程遠い麻衣の仕草に陸はうっとりと目を細め浅い場所を突くように細かく腰を揺らす。
「んんっ、あ……あっ、あっ……」
「声……可愛い。もっと聞かせてくれるよね?」
膝がベッドに付くほど足を広げられ身体を激しく揺さぶられると麻衣の口からは喘ぎ声だけが零れ続けた。
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