『番外編』
節分2010【2】

 体温が上昇した祐二の肌に指を滑らせると、香水でも整髪料でもない祐二の香りが立ち上る。

「っざけんな! 土曜もしただろっ!」

「でも昨日はしてないよ」

 あまり暴れるからシャツのボタンを外すのを諦めて、ズボンからシャツを引きずり出し裾から手を入れてサラサラとした肌を撫でた。

 すでにボタンが外されている無防備な首筋に顔を埋めると香りはクラクラするほど強い。

 唇を寄せる首元にはまだ自分が付けた印が色濃く残っている。

 もう身体は俺を受け入れ始めているのに頑なに拒もうとする祐二の手が俺の頭を押し返そうとする。

「毎日毎日……盛ってんじゃねぇっつーのっ!!」

「誘ったのは祐二なのに」

「俺がいつ誘った!」

 憤慨する祐二が俺の髪を乱暴に掴んだ。

 抵抗すれば無理矢理引き抜かれそうな強さに名残惜しいけれど肌から唇を離し怒りで興奮状態の祐二の顔を上から見下ろす。

「今朝、誘ったでしょ?」

「誘ってねぇっ」

「そうなの? でも別にいいよ、俺から誘ったことにしておくよ」

「なっ!!」

 怒りでぷるぷる震える祐二があまりに可愛くて、宥めることもせずついからかってしまいたくなる。

「丸かぶり、させて?」

 言いながら手を下へと滑らしてズボンの上から触れると、すでに期待を膨らませている祐二がいた。

 反応していることを隠そうとする祐二が腰を動かして抵抗をする。

「っざけんなっ! お前なんか豆食ってろ、豆!!!」

 激しく抵抗する祐二の足が時々蹴りとなって俺の脚を攻撃する。

 本当に素直じゃない……。

 最後には俺にしがみつくせに、あと少しもすれば可愛い声を聞かせてくれるのに、どうしてこうも毎回毎回同じなんだろう。

 気持ちも身体も昂ぶっているけれど、妙に冷静にそんなことを考えながら俺は祐二が嫌がる場所から手を離した。

「豆……ならいいんだ」

「あ?」

 どうやら俺の独り言を祐二は聞き取れなかったらしい。

 それならば……と抵抗されないように素早く祐二のシャツを捲り上げた。

「豆、発見」

 胸元に小さな豆が二つ、上がったテンションでそんなことを呟きながら片方を口に含む。

 小さな小さな尖りをチュッと吸い上げれば祐二の身体がビクッと震えた。

「ま……豆とかっ、ふざけたことっ……あぅっ」

 まだ強気で抵抗するのがちょっと悔しくて、口に含んでいた尖りにわずかに歯を立てた。

 片方は爪で引っ掻きながら再び口に含んでいる方を優しく舌先で撫で甘く吸うを繰り返す。

 口の中でさっきよりも硬さを増した祐二の小さな豆は俺の口を離す頃にはやらしく色づいたまるで熟した果実のようになっていた。

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