『-one-』
温泉旅行! P9
カラカラカラ…
女の脱衣所の方から扉の開く音が聞こえた。
(誰か入って来た?)
薄暗いし湯気ぼやけてよく見えないがシルエットから女なのは間違いないしかもスタイルはまぁまぁな感じがする。
だが陸の体はとても今の状態では外に出れない。
見られるわけがないのは分かっていたが陸はそっと手で隠した。
陸はただならぬ緊張感を感じていた。
薄暗い所に裸の男女が二人きり…とゴクッと喉を鳴らして自分には麻衣っていう可愛い彼女がいるだろ!と叱り飛ばす。
それにしてもホストのくせに麻衣以外の女にドキドキするのは情けない…と反省する。
「あ〜気持ちぃ〜」
チャプンと音の後に声が聞こえた。
若い女性の声だったがそれよりももっと気になる疑問に陸は音を立てずに前進する。
(聞き間違いか?)
いや…自分が聞き間違えるはずのない声だと自信を持って前に進む。
こんなにも愛しい人の声を聞き間違えるはずがない。
目標確認!
顔が見える位置まで来ると陸はジッと目を凝らした。
(マジで!?間違いない!)
ザバァァッ!!
陸は喜びのあまり勢いよく立ち上がった。
「キャーーーッ!!」
まるで断末魔のような悲鳴が露天風呂に響き渡った。
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