『-one-』

温泉旅行! P4


【さっき旅館着いたよ 麻衣】

 麻衣はメールを送るとパチンと携帯を閉じた。

 バスに乗っていて気付かなかったけれど陸からも一通メールが届いていた。

 店の休みを利用して急遽温泉旅行へ行く事になったらしい。

(一緒だったりして…フフフ)

 行き先まで書いてなかったけれどもし一緒だったら面白いのになと麻衣はクスクス笑った。


「気持ち良かったですよ〜麻衣先輩も入ればよかったのに〜」

 先に入りに行った温泉組が戻って来た。

「宴会終わったら入るよー」

「あ、聞いて下さい!!さっき超イケメン集団と会いました!」

「イケメン集団?」

 後輩達は興奮冷めやらずといった感じで話している。

「すっごいですよ。なんかホストみたい!!」

(えっ…まさか。そんなドラマじゃないんだし)

「麻衣さんっ!!見に行きますよっ!」

 麻衣は後輩達に両脇を抱えられて引きずられながら連れ出された。

 すごく嫌な予感がする…と麻衣は回れ右をしようとした。

「ほら、あそこです。あそこ…」

 麻衣が戻るより早く後輩達が指を差して麻衣はチラッと覗いた。

(いた…ONEのメンバーが…)

 麻衣は咄嗟に柱の陰に隠れた。

(えぇっ!?どーする??どーすればいいの?)

 麻衣が柱の壁で悶々と悩んでいると聞いた事がある声が聞こえてきた。

「友達と旅行に来たの?」

「違いますよー。社員旅行なんですぅ」

 何回が話した事のある子が後輩達をナンパしている。

(なーにやってるの…もぅ!)

「後で一緒に飲まない?」

(はっ!?絶対ダメっ!)

 後輩達はくねくねと体をくねらせながらどーするぅと舌足らずな声を出している。

(早く断りなさいっ!)

 麻衣は心の中で叫んだが後輩がひょいと顔を出した。

「どーする?ねーせんぱっ…」

「え、宴会始まる時間!行くよっ」

(私がいるってバレちゃうじゃない!)

 麻衣は後輩の手をひっぱりグングン歩き出した。

 こんな所を見られたり万が一ナンパされてるって分かったら後でどんなお仕置きが…。

「あ、ほんとだぁ。ざんね〜ん」

「じゃあ10時にロビーで待ってるよぉ」

 後輩達とホスト達が手を振り合っている。

 麻衣は後輩を宴会場に放り込むと急いでユーターンしてホスト達にバレないように目的の人を探した。


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