『-one-』

ホストとOL P6


「大丈夫。緊張しないで…」

 陸の手が麻衣の肩に回された。

 麻衣はビクッとして慌てて横を見る。

「あ、あの…。ちょっと離れてもらえませんか?」

「何で?俺嫌われてる?」

 陸のセクシーな瞳が伏し目になる。

(どぉして…そういう目をするの?)

 あまりに切なそうな瞳の色に麻衣はすごく悪い事をしたような気分になった。

「麻衣ー、私のお金で飲むんだから楽しまないとお金払わせるよ!」

(そんな無理矢理連れ込んでおいて…)

 けれどお酒は美味しい、目の前のフルーツも美味しそう。

 そして何より自分の給料じゃこういう店の支払いが出来ない事くらい承知していた。

「分かった?」

「はぁーい…」

 二人のやりとりを見て誠が微笑んでいる。

 誠は美咲の隣で足を組んでその上に両手を重ねるように置いている。

 話し方もとても紳士的で麻衣にはとても好印象だった。

「美咲さんと麻衣さんは高校の同級生なんだって?」

「そう。一年の頃から友達だからもう10年以上になるね?」

「う、うん…」

「へぇ。麻衣さんは何の仕事してるの?」

「え?あぁ…OL?」

「何で疑問系?」

 紳士的な誠に比べて隣にいる陸は遠慮なく麻衣の肩に手を回している。

 そして不躾なほどジロジロと見てくる。

 麻衣は恐る恐る顔を上げると陸とバチッと目が合って微笑まれた。

 年甲斐もなく顔がカァーッと熱くなる。

「ちょ、ちょっと…化粧室…」

「俺も行こうか?」

「け、結構です!」

 麻衣はその場から逃げ出すように化粧室へと駆け込んだ。 

[*前] | [次#]


コメントを書く * しおりを挟む

[戻る]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -