『-one-』

ホストとOL P5


(何で…何で…こうなるの…)

 斜め前には男に寄り添いながらお酒を飲む美咲の姿。

 そして麻衣の横にはさっき店の前でぶつかった男がぴったりと寄り添っている。

 美咲の手によって結局店に連れ込まれた。

 そして店の一番奥のソファに座らされているこの状況。

「飲まないの?」

「結構です!」

「何で?こういうトコは嫌い?」

 男のくせにセクシーな声、セクシーな瞳。

 そんなつもりはないのに体がゾクッと感じる。

「麻衣さん?俺とは飲めない?」

 身を屈めた陸が俯き加減の麻衣の顔を覗き込む。

(うわぁぁぁっ…!)

 真っ直ぐ瞳を覗き込まれて瞬殺だった。

 心臓は鷲掴みされたみたいに苦しくなり鼓動も早くなる。

「じゃ、じゃあ…一杯だけですから…」

 グラスを受け取って口を付ける。

(あ…美味しいかも…)

 口当たりも喉ごしも良くて一口のつもりがグラス半分ほど空けてしまった。

「麻衣はこういう所に入るのは初めてだから緊張してるのよ」

 すっかりご機嫌の美咲がフルーツに手を伸ばしながら言った。

 ホストクラブに行ってるなんて一度も聞いた事はなかったけれど美咲はとても慣れてるように見えた。

「麻衣さんはとても可愛らしい方ですね」

 さっき紹介されたばかりの誠が麻衣を見て微笑む。

 誠はここのオーナーなのに麻衣達の一つ年下だった。

「誠、私は?」

「美咲さんももちろん素敵ですよ」

 誠は美咲の髪を撫でながらもう美咲の方へ向き直っている。

(あぁぁ…ホストクラブだよね…この感じ)

 客として初めて入ったホストクラブの雰囲気に呑まれそうになっていた。

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