『-one-』
悠斗と麻衣 P2
「おはよー」
「遅くなってすみません…」
「ううん、大丈夫だよ。」
息を切らして待合せの場所に悠斗くんが走って来た。
お店で見るよりもずっと若く見えるし何だか隣で歩くのが恥ずかしい。
「あ、俺変な格好してます?」
私の視線を感じたのか、自分の格好を確認している。
「そんな事ないよ!ただ私が隣にいると浮いちゃうんじゃない?」
「どうしてですか?麻衣さんすっげぇ可愛いじゃないですか!」
「ゆ、悠斗くん…仕事じゃないからそんなに褒めないでくれる?」
ずっと悠斗くんの視線を感じていて恥ずかしくなってくるのにそんな事に構う事なく私の周りをクルクル回っている。
「仕事の時も今も本当の事しか言ってないです!」
そう言い切った悠斗くんの笑顔が眩しくて少しドキッとした。
「じゃ、じゃあ行こっか?」
照れくさくて先に歩き始めた。
「あ、麻衣さん!今日は一日手を繋いでいいですか?」
「え?手…繋ぐの?」
「せっかくだしデートみたいにしたくて…。でもやっぱり彼氏に怒られちゃいますよね?」
悲しそうな顔をして俯いた悠斗くんを見たら何だか可哀想って思ったらしまって私は悠斗くんの前に手を出した。
「手握るくらいなら、きっと大丈夫!」
「やった!」
そう言うと私の手を握って歩き出した。
大丈夫だよねぇ?…たぶん
私達はお好み焼き屋へ入った
「悠斗くん、上手だね!!」
私がぼーっとしている間に手際よくお好み焼きが焼けていく。
「昔バイトした事があるんですよ」
えいっと上手にひっくり返すのを見て私にも出来そうな気がしてやりたくなった。
「私もそれやってみたい!」
ヘラを持っていざ構えてみるけど勇気が出なくて、構えたまま手が動かずにお好み焼きを睨んだまま。
「クスッ…一緒にやりますよ!」
そう言って私の後ろに回りヘラを一緒に持つ。
あぁ…ち、近いですって…。
急接近に不謹慎ながらドキドキして顔が赤くなる。
「行きますよ?せーのっ」
お好み焼きはきれいに回転してひっくり返った。
「やったー!出来たー!」
手を叩いて喜ぶ私を見て悠斗くんがまたクスクス笑う。
「麻衣さんってほんとかわいいですよね」
私はその一言でさっきよりも顔が赤くなった。
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