『-one-』

好きだから空回り P18


 髪を撫でる気配で目が覚めた。

 陸が目を覚ました麻衣の額にキスをする。

「おはよ」

 ベッドで陸の腕の中にいる。

「あれ…私…」

「気を失ってただけだよ。今日の麻衣すっごいエロかったもんね」

 麻衣は恥ずかしそうに俯いて陸の胸の辺りを軽くパンチする。

「麻衣をいじめるのがクセになりそう」

「やだ、恥ずかしい…」

「やだ?あんなに濡らしておねだりしたのに?」

「もーいぃーもん」

 口を尖らせた麻衣がベッドから出ようとする。

 だが陸の腕の中に戻されて強く抱きしめられる

「離れないで」

 肌が直接触れ合う感じが幸せで麻衣は目を閉じて頷いた。

「まだ言ってなかったけど…誕生日おめでと。プレゼント用意してなくてごめんね」

「さっき貰ったよ。またくれるの?」

 陸はそう言って腰を擦り付けた。

「もうっ!陸のエッチ!」

「麻衣?そんな顔して見上げたら誘ってる風にしか見えないって」

 陸は体を起こすと背中に枕を当ててもたれ麻衣を抱き寄せた。

「これからもずっと誕生日は祝ってね?」

「え?」

「今はそういう風にしか言えないけど、いつかちゃんと言うから」

(ずっとって…もしかして…)

 麻衣の胸は高鳴り激しい鼓動は陸に聞かれてしまいそうなほど大きくなっている。

「待っててね?…ホストもいつか辞めるからね」

「えっ?」

「辞めて欲しくない?」

「あ、そうじゃなくて…ビックリしたの」

 陸は微笑んで髪にキスをした。

 そしてちょっと恥ずかしそうに俯いて呟いた。

「俺さ、花屋をやりたいんだ」

「花屋さん?」

 意外な言葉でびっくりした。

「そっ、まぁいつになるか分からないけどね。それまでは…世話になってる誠さんに付いてホストやるけどね」

 家族のいない陸にとってはこの世界に引き入れた誠が親代わりで誰よりも尊敬し慕っている。
 
 陸の真剣な眼差しが麻衣を捉えた。

「ホストの俺見てるのほんとは辛いんでしょ?」

「知ってたんだ…」

「でも信じて俺は麻衣だけだよ。」

「うん…信じる」

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