『-one-』

好きだから空回り P14


 目が覚めたら自分のベッドの上だった。

 起きると服を着たままで体が異様に重くだるい。

 それ以上に暗く重い感情が麻衣を支配していた。

 その原因を確かめるために携帯に手を伸ばした。 

 プルルル…プルルル…

「おはよー…ございます…」

「全く昨日は最悪だったわよ」

 電話に出るなり冷たく呆れた美咲の声。

 昨夜は美咲や悠斗に絡みかけたところまでは覚えていたけれどその後の事はまったく記憶に残っていない。

「で、どっから覚えてないわけ?」

「ソファに倒れこんだ後からです…」

 いつもの事という声で美咲が先に用件を切り出した。

 そして美咲の口から衝撃の事実が知らされた。


「悠斗くーん!抱っこ〜!

 悠斗の腕の中に抱えられた麻衣は甘えた声で言いながら抱き着いた。

「ま、麻衣さん…大丈夫ですか?立てますか?」

「立てなぁーい。悠斗くん、抱っこぉ〜〜〜」

 起き上がろうとする悠斗の体にのし掛かり首に抱き着きながら駄々をこねた。

 そこへ騒ぎを聞きつけた陸が来た。

「大丈夫?そんなになるまで飲むなんて体によくないよ?タクシーまで送る」

 陸は優しく麻衣に向かって手を差し伸べた。

「ヤッ!」

 麻衣は差し出された手をパシッと叩いた。

 No.1の手を振り払ったとその場が凍りついた。

「悠斗くんがいいんだもん。ねー抱っこぉ〜」

 悠斗は鬼のような視線に耐えながら麻衣をお姫様抱っこしてタクシーに乗せた。

 部屋へは美咲とタクシーの運転手が運んだ。


「あ、ありがとう…」

「あれは相当怒ってるよ」

 電話を切る前に美咲がボソッと呟いた。

 麻衣は電話を切った後頭を抱えてベッドに突っ伏した。


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