『-one-』
一人より二人 P18
目覚ましの音もなく、自然と目が覚めた麻衣は、ゆっくりと瞼を持ち上げた。
いつもなら薄暗いはずの部屋は、カーテンの隙間から差し込む光がやたら明るい。
(え、今……何時?)
携帯で時間を確認しようと手を伸ばして、携帯がないことに気付くと、ようやく寝惚けていた頭がハッキリしてくる。
(そういえば、昨夜……)
昨夜、意外なほど早く帰ってきた陸に……、思い出そうとして顔が熱くなる。
ハッキリと覚えている、覚えているからこそ薄く開けた瞼をギュッと閉じた。
(ってことは……、きっともう朝と呼べる時間じゃないはず、陸も隣にいないし……)
昨夜は休みの前日だからと、少しだけ夜更かしをするつもりだった。
何か洋画でも見ようとしていて見つけたDVD、再生した途端すぐに始まった男女が絡むシーン。
(エッチな……って、初めて見た。お兄ちゃんはあーいうの持ってなかったもんね)
初めて目にしたエッチなDVDに興味津々で、陸が仕事だからという油断から、何も警戒せずに見入ってしまった。
(なんか色々凄かった)
軽くショックを覚えたけれど、今となってはその印象は薄い。
頭に残るのは昨夜の陸とのことばかり。
突然帰ってきた陸に驚いたのも束の間、あっという間に我を忘れてしまった。
DVDに出てきた男優は、鍛えられた身体をしていたけれど、陸の方がずっと綺麗だと思う。
(陸の方が……すごい、よね?)
余分な肉が付いていない細身の身体、身体を動かすたびに現れる鍛えられた筋肉。
荒々しく強引かと思えば、次の瞬間にじれったくなるほど優しくて、息も出来なくなるほど激しく求められた。
結局、リビングで何回かした後に、浴室へ連れて行かれて、フラフラになって寝室へと運ばれた。
(ベッドでもされた気がするけど……)
記憶が曖昧でハッキリしなけれど、久しぶりのエッチはいつも以上だったと、あちこちで悲鳴を上げる身体が教えてくれる。
「今日が休みで良かった。もう……もう少し加減してくれたらいいのに、後で文句云おうかなぁ」
とても動けそうになくて、ポツリと呟きながら、陸もそれが分かっていて無茶したのだと分かっていた。
タイミングが合わなくてエッチ出来ない日々が続いて、本当はすごく寂しいと思っていたし、確かにこの週末は……という予感があった。
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