『-one-』
一人より二人 P15
ソファのスプリングが悲鳴を上げている。
本来は座る目的のために作られたソファ、確かに二人とも座っているけれど、激しく身体が揺れることは想定されていないはずだ。
麻衣の指が脱ぐ余裕のなかった陸のシャツを強く握り、下から突き上げられて揺らされる振動に耐えていた。
「いいっ……、ああっ、陸っ」
「は、はっ……っ」
息が乱れてしまうことに、陸は心の中で舌打ちをした。
腰の動きだけでは限界があり、ソファのスプリングの助けを借りて、腰を掴んで動きに合わせて麻衣の身体を揺らす。
さっきまでの余裕は今はもうない。
額に汗を浮かばせて、麻衣の身体を攻め立てることだけに囚われていた。
「そんな、奥……ッ」
「ん、すげ……っ! キツイっ」
陸は思わず根を上げそうになって、眉根を寄せてギュッと目を閉じた。
腰のだるさは半端ないし、踏ん張る足や膝はスポーツ選手なみの疲労だし、麻衣の身体を持ち上げる腕は筋肉が震える。
それでも止められないのは、斜め上で快感に泣く麻衣の顔と、何度も何度も求めるように自分の名前を呼ぶ麻衣の声。
「陸、陸……っ」
名前を呼びながら、麻衣に頭を抱きしめられ、口元に胸を押し付けられた。
「舐めて欲しいの?」
息を切らしながら上目遣いで麻衣の様子を窺えば、返事はなかったけれど麻衣の頭が間違いなく縦に振られた。
「じゃあ、ほら……口に舐めて欲しいとこ、持ってこないと」
激しく揺らされて、柔らかい胸は意志とは関係なく縦横無尽に揺れている。
目の前で揺れる麻衣の胸、舐めてあげたいと思いながらも、あまりに麻衣の泣き声が可愛くて止められなかった。
「待……っ、動かないでっ」
「ほら、舐めてほしいのはここなの?」
わざと柔らかい胸の下の部分を甘噛みする。
(ここ、結構好きかも)
胸の上や横よりも、重みでタプッとしたいわゆる「下乳」の部分は、胸の中でも特に感触が堪らない。
唇に掛かる心地良い重みと柔らかさ、唇で食むことが楽しくて止められずにいたのに、無理矢理引き剥がされてしまった。
(怒った、のかな?)
心配になってチラリと麻衣の表情を窺おうとした陸は、目の前で起きた奇跡のような出来事に目を瞠った。
目の前に突き出された麻衣の胸、驚きで動きを止めてしまったが、動かない胸の原因はそれだけじゃなかった。
「ま、麻衣……ッ」
陸は思わずゴクリと喉を鳴らした。
麻衣が両手で自分の胸を持ち上げて、陸の顔の前に差し出している。
「陸、お願い……っ」
言葉にされなくても、陸は夢中で舌を伸ばした。
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