『-one-』

一人より二人 P13


 腕の中にすっぽり収まる身体、呼吸を整えるために上下する肩、白い肩にチュッと吸い付き、ペロリと舐めると麻衣の汗の味がする。

「……ん」

「麻衣、大丈夫?」

「ん……、お腹……熱、い」

「うん。出しちゃった」

 悪びれず笑って言うと、さすがに怒るかなと思ったのに、麻衣も吹き出すように小さく笑ってくれた。

 エッチの後のインターバル、荒く乱れた二人の呼吸が少しずつ落ち着いて、いつしか同じように胸が動く。

 この時間が好きだ。

 エッチの最中ももちろん麻衣の身体を抱きしめるけれど、少しぐったりしている麻衣の身体を、時には重みを感じながら、抱きしめている時間が好きだ。

 自分の腕の中で乱れれば乱れるほど、その気持ちは大きくなっていく。

 愛しいと思う気持ちが溢れるから抱きしめているのもあるのだけれど、今夜は少し違っている。

(麻衣がね……足りないんだ)

 一緒にいられれば幸せだし、無理強いしてまでエッチをしようとは思わない、それでもやっぱり抱きたくて抱きたくて堪らない。

「ね……陸、少し離して?」

「やだっ」

 少しだけ困った声を出す麻衣だけれど、その程度じゃとても離してあげられない。

 抱きしめている腕に力を込めて、ギュッと強く抱きこんで意志表示をした。

 観念したのか、もともと分かっていたからなのか、少しも抵抗を見せない麻衣は、抱きしめる陸の腕に触れながら首だけで振り返った。

「陸は……、このままで、辛くないの?」

 言い終わった後に恥ずかしそうに唇がキュッと閉じて、俯いてしまった麻衣の姿に真っ先に反応したのは、埋め込んでいる自身だった。

「麻衣は辛いの? どーして?」

 正直、辛くはなかった。

 もう二回出した後だからかもしれない、切羽詰った状況から脱して、今はこんな風に麻衣をからかう余裕が出てきた。

「わ、私は……別に、っ」

「んー? そう? ならいいんだけど」

 焦る麻衣に気付かないフリをして、目の前にあるうなじや肩に触れるだけのキスをして、ほんのり赤くなっている耳たぶを唇で挟んだ。

「は……ぅん」

 わずかに顎を上げて声を出した麻衣に、いけないと思いつつも笑いが止められない。

「麻衣ちゃん、どーしたの?」

「もう……分かってて、やってるでしょ?」

「んー? 何のことー?」

 身体は繋がったままなのに、こんな麻衣を見るのが楽しくて、続けようと思ったのに……。

「だって……さっきより、おっきくなってる!」

 赤い顔で振り向かれて、拗ねたようにそんなことを言われて、陸はあっという間に白旗を揚げた。

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