『-one-』

一人より二人 P11


 前々から云おうと思っていたけれど、麻衣は時々ムードに欠けると思う。

 これから本番という時に、それは萎えてしまうじゃないかと思うくらい現実的な言葉を口にした。

「スーツが染みになっちゃう!」

「はい?」

 意味が分からず肘を付いて身体を起こせば、自分が出した白濁がスーツに撒き散らされている。

「ど、どうしよう……」

 オロオロしている原因はこれだったらしい。

 近くにあったティッシュを引き寄せようとする麻衣は、下着を付けていない尻をこっちに突き出していることにも気が付いていない。

(もう……)

「スーツなんてどうでもいいよ」

「どうでもって!! すごく高いスーツなんでしょ? とりあえずすぐに落とせば染みにはならないかもしれないし……早く脱いで」

 身体を起こして希望通り下着ごと汚れたズボンを脱ぎ捨てる。

「水洗いした方がいいのかな」

 ズボンを手に取って、食い入るように見ている麻衣を横目に見ながら、ジャケットを脱ぎ捨てる。

(まだまだ、インターバルは必要なし!)

 ティッシュ片手に呟く麻衣の腰を掴まえて、萎えかけた自身を手早く擦ると、すぐに挿入出来る状態になった。

「り、陸っ!?」

 ようやく気が付いたのか、麻衣は振り返ってこっちを見たけれどもう遅い。

 すでに狙いを定め終わった自身の先端は、柔らかく濡れた入り口に宛がわれている。

「一回だけじゃ、全然足んないんだって」

「ま……っ、やぁ……っん」

「ふぅっ、やべぇ……すげえ気持ちいい。ヌルヌルしてんのに締め付けてくる」

 思わず目を閉じてその快感を味わった。

 さらに腰を突き出して、根元まで埋め込んでしまえば、柔らかい襞がねっとりと絡み付くように包みこんでくる。

「さっき達ったばっかだから? なんかピクピクしてんのも気持ちー」

「やっ、へ……なこと、云わないでぇ」

「変なことじゃないじゃん。褒めてんだよー。麻衣の中はねー、柔らかいけど、俺のにぴったりフィットすんの。しかもゴム付けてないし、俺も達ったばっかだから、すげえ敏感になってて、気持ち良さ二倍……いや、十倍だなぁ」

「も、もうっ!! こんな格好のまま喋らないでよー」

 振り返った麻衣に唇を尖らせて睨まれているのに、陸の口元には満足そうな笑みしか浮かんでいない。

「なーにー、麻衣ちゃん。もしかしなくてもー、それはおねだりだったりするわけー?」

「ち、違っ……」

「違わないでしょー? ほら、こうされたかったんじゃないの?」

 焦らすようにわざとゆっくり、先端が見えそうなほどギリギリまで引き抜いて、一呼吸置いてから一気に根元まで捻じ込んだ。

「ああっんっ!!」

 身体を仰け反らせて高い嬌声を上げて軽く達した麻衣は、力が入らないのかだらりと床に突っ伏した。


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