『-one-』

一人より二人 P6


 絶対に断わられると思っていた。

 断わられるだけでなく、今夜が台無しになるくらい怒られると覚悟していた。

(スイッチ、入っちゃってんだなー)

 陸は前を大きく広げて、取り出した自身を右手で扱きながら、目の前の麻衣をうっとりと眺めた。

 目の前にいる麻衣は、さすがに恥ずかしいのか顔を伏せて、パジャマを着たまま右手をズボンの中に手を入れていた。

(やべぇ……思っていた以上に興奮する)

 我慢しきれずに荒い息になってしまう。

 言い方は悪いけれど、映像や妄想ではないリアルなオカズを目の前にして、扱くのはどうだろうと内心思っていた。

 結局は自分の手、それほど興奮もせずすぐに厭きてしまうだろう。

 そんな風に思っていた自分に、試してみて良かっただろうと言ってやりたい。

 久しぶりだから、そんな言い訳が通用しないほど、自分の手の中で硬くなったモノの先端からは雫が溢れ、扱く指を濡らし始めていた。

「麻衣……、気持ちいい?」

「ん……っ、うん」

「おっぱいは触らないの?」

 左手がパジャマのズボンを握ったままなのを指摘すると麻衣は小さく首を横に振った。

 そうしている間も、麻衣の唇からは堪え切れない声が漏れている。

「俺に触って欲しい?」

(俺が触りたいだけだっつーの)

 本当は最後までこのまま、と考えていたけれど、とても自分の身体がもたない。

 目の前で麻衣がオナニーをしているという現実、声を押し殺そうとして時々唇を噛む仕草、ズボンの中で麻衣の指がどんな風に動いているか想像するだけで、暴発してしまいそうになる。

「麻衣? 答えて」

「…………って」

「聞こえないよ」

 自分も大概意地悪だと思う、こんなやせ我慢してまで麻衣の困る顔を見てみたいと思っている。

「触っ……て」

「どこ?」

「どこっ……って、お…………っぱい」

 今夜は言うまで許してあげない、と考えていた気持ちが伝わったのか、それとも別の理由からか、麻衣の唇からねだる言葉が出た。

「じゃあ、麻衣も触ってくれる?」

 麻衣はどこを、とは聞かなかった、ただ黙って小さく肯いたかと思うと、少し躊躇しながら手を伸ばしてきた。

 麻衣の手が触れる瞬間、思わず息を呑んでしまった。

 初めてじゃなかったけれど、薄暗いリビングという場所で、互いに一人エッチを見せ合った(麻衣のは見えなかったけど)後で、異様に興奮している。

(く……はぁっ、すぐに達きそっ)

 遠慮がちに握る柔らかい手の感触、もどかしくて腰を動かしたくなるが、どうにか堪えた陸は自分も手を伸ばした。


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