『-one-』
一人より二人 P5
柔らかな茂みを掻き分けて、さらに奥へと進んだ指先に、温かいぬめりを感じた。
ぬめりの助けを借りて、滑るように奥へ進んだ中指が、蕩けている泉の入口を見つける。
「すっげぇ、濡れてる」
どれほど溢れているのか、確認しているのだと言わんばかりに、中指の先で入口を撫でながら囁いた。
「や……ぁっん」
首を振りながら嫌がるくせに、麻衣の手はジャケットを掴んだまま離さない。
唇を薄く開けて、喘ぎ声まではいかない吐息を零し、太ももをモジモジと擦り合せている。
(これで誘ってないなんて、誰が思うんだよ)
恥らう姿、嫌がる姿、そんな姿にどうしてもそそられる自分がいること。
積極的な麻衣も好きだけれど、それは普段の麻衣の姿があってこそだ。
いつもなら、ここでもっと麻衣が恥ずかしがるようなことを口にする、でも今日は少し趣向を変えることにした。
陸は熱いぬめりの感触を楽しんでから、ゆっくりと手を引いた、もちろん手を引く時には、偶然を装って膨らみ始めている花芯に、指先で触れることも忘れない。
敏感な花芯に触れられて、可愛い声を上げた麻衣は、触れていた手が離れると少し驚いたように目を開けた。
「……陸?」
戸惑った声を出す麻衣に、決して店内では見せることのない極上の笑顔を向けた。
「一人でしてたの?」
「えっ?」
意味が分からないのか惚けているのか、目を丸くした麻衣に、今度は顔を近づけて意地悪な笑みを向ける。
「エッチなDVD見ながら、オナニーしてたの?」
わざとそのものの単語を口にすると、麻衣はボッと音が付いてもおかしくないほど顔を真っ赤にさせた。
(一人でしてないことは分かってるけどねー)
「ち、違っ! たっ、たまたま……っ、何かDVDないかなぁって、何も書いてないDVDがあって、何かなぁって再生したら、あ……っ、あれで……っ」
見ていて可哀想になってしまう。
落ち着いたはずの麻衣が、またパニックになりかけているのを見て、陸は落ち着かせる意味も込めて髪を撫でた。
「麻衣、麻ー衣。落ち着いて。ほら、抱っこしてあげる」
声を震わせて泣き出しそうな麻衣の身体を抱き起こした。
フローリングの上で向かい合って座り、落ち着くまでパジャマの背中を優しく叩く。
(でも、今日は許してあげられそうにないんだ。ごめんね、麻衣)
三週間と三日、そのブランクは大きい。
本当は今すぐ押し倒して、パジャマを乱暴に引き剥がし、愛撫もそこそこに突き入れたい。
ケダモノのように乱暴に、欲望のままに麻衣を抱きたい、そんな本心を押さえつけられたのは、さっき頭に浮かんだ趣向のおかげだ。
「二人で一人エッチしようか?」
それは密かな願望ともいえる楽しい趣向だ。
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