『-one-』

公認彼氏 P10


 私は助け舟を出してもらおうと悠斗くんと響くんの顔をチラッと見た。

 だが二人とも困った顔を向けている。

 それに肝心の陸はさっきから一言も喋らずに黙ったまま。

「年上なのは間違いないですよね?」

「ど、どうして…」

「だってこの前、年の割には子供っぽい人って言ってたじゃないですかぁ」

(そりゃぁ…確かに言ったけど)

 それは陸が22歳にもなってまだ子供っぽい所があるというつもりで言ったセリフ。

 だけど普通に考えたら29歳の私が22歳と付き合ってると発想する方が難しいのかもしれない。

「し・か・もー麻衣先輩の引っ越したマンションって高級マンションですよね? あんなの普通じゃ借りれませんって!」

 ―絶体絶命。

 けれどこのまま話を続けて陸との関係がバレたりでもしてお店に迷惑をかけることだけは避けたい。


「もう…私の話はこれでおしまい。こんな話したってつまらないでしょ?」

「えぇーーっ!」

「逃げようたってダメですよぉ? 少しくらい教えて下さいっ、秘密にされると悲しいじゃないですかぁ」

(もう…だから察して下さい)

 諦める気の無い彼女達はどうやらとことんまで追い詰めるつもりらしい。

 出来る事なら今この場所から走って逃げ出したい。

「麻衣さんも困ってるみたいだし、その辺にしておいたらどうかな?」

 ようやく助け舟を出してくれたのは響くんだった。

 私はようやくホッと胸を撫で下ろしたが…。

「だぁめ! 今日こそは聞き出すんだからっ」

 彼女達の決意は相当固いらしい。

 ここまで来たら解決方法はもう一つしかない。

 ―正直に話すしかない。

 別に秘密主義というわけではなかったが今まで誰にも陸のことを紹介した事はなかった。

 もちろん引き合わせてくれた美咲は別だったが。

 もうすぐ三十路の私の恋人が八歳も年下―しかも職業ホスト―なんてやはり言い出しにくい。

 だから友達に聞かれても毎回誤魔化して来た、けれど今回は誤魔化すのは無理かもしれない。

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