『-one-』

猛アタック P12


(恥ずかしい…)

 28歳…もうすぐ30歳になろうとしている女がまるで小娘のように照れている。

 原因はコレ…。

 麻衣はソファの上で陸に抱っこされているしかも向かい合わせですぐそこに陸の顔がある。

「やっと抱っこ出来た〜」

 陸は嬉しそうに言いながら麻衣の胸に顔を埋めた。

「ちょっとぉ…」

「嫌なの?」

 陸が顔を上げてジッと麻衣を覗き込む。

 その顔が可愛くて麻衣はクスッとわらった。

「何で笑ったの?」

「可愛いから」

「人の事からかうなよっ!罰としてキスして」

 陸は目を閉じて唇を突き出している。

「罰って私が何したの。」

「好きな男に可愛いとか言う?」

(いや…ほんとに可愛いからさ…)

 思っていても口には出来なくて「早くしてよ〜」と目を閉じて待っている陸の唇に軽くキスをした。

「麻衣〜中学生じゃないんだよ?それはないでしょ?」

 唇が触れるだけのキスじゃ不満だったらしい陸が拗ねている。

 けれど恥ずかしさが先に来てしまってそれ以上の事を自分からするのは難しい麻衣は目を伏せた。

「麻衣…教えてあげるね…」

 唇と唇が触れそうなぐらい顔を近づけて陸が話しかけた。

「キスのしかた…」

 陸の息遣いを唇のすぐ側で感じてドキドキする。

 チュッ、チュッ−

 何度も麻衣の唇を確認するように離れては触れる啄ばむようなキスを繰り返す。

 唇で軽く麻衣の唇を挟みこむ。

 麻衣が熱い吐息を吐くと陸はゆっくりと舌を差し込んだ。

 陸の舌が麻衣の口の中をゆっくりと這い回る。

 前にしたキスとは比べ物にならないくらい長く淫らなキスが続く。

 顔を傾けてより深く差し込まれた舌が麻衣の舌に巻き付きそして舌先でくすぐる。

「んっ…んぅっ…」

 部屋の中にはクチュクチュと舌の絡めあう音と息づかいだけでとても静かだった。

 長い長いキスを終えて陸が名残惜しそうに離れると二人の間を唾液が繋いだ。


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