『-one-』

ある夏の一日'08 P5


 ワイルドリバーを滑り終わった二人はそのまま隣にあったサーフヒルへと向かった。

 マットに腹ばいになって滑り落ちてくるスライダー。

 二人は同時に滑り出したが先に着いた陸は麻衣が滑って来るのを待っていた。

(なんかエロいな…)

 腹ばいになっているせいか胸が強調されている。

 ビキニから零れ落ちそうな胸に陸は顔がニヤけたもののすぐに険しくなった。

「おいっ…アレ…」

 と言いながら近くにいた男の視線が麻衣に向けられている事に気付いた。

「りーくっ!」

 滑り終わった麻衣が陸の元へと駆け寄る。

 スカートの中の水着を直しながら歩いている麻衣に他の男もジロジロ見ている。 

(無意識な無防備だからたちが悪いんだよな…)

 今度は胸の下辺りを直している麻衣を見てため息が出る。

「ね〜ぇ!今度はどれにする?」

 する?と首を横に傾げる麻衣。

(その仕草がどのくらい可愛いか自覚して下さいね…)

 陸は何も答えずに麻衣の手を引いて歩き始めた。

「陸ー?」

「浮き輪欲しいって言ってたでしょ?」

「う、うん…」

 不思議そうな顔をする麻衣に構う事なく店へ向かった。

 さっきまで気付かなかっただけですれ違う男の中にはジロジロと麻衣を眺めてくる奴がいる。

 気付かなければ平気だったのに気付いてしまった今はかなり気分が悪い。

 陸は手早く浮き輪を買うとすぐに麻衣を連れて歩き出した。

「次はここっ!」

 たどり着いたのは流水プール。

 陸は買ったばかりの浮き輪を麻衣に被せた。

 ゆったりと流れるプールの中で麻衣は浮き輪に掴まってプカプカ浮いている。

「気持ちいいね〜?」

 陸の穏やかではない心中に気付くこともなく麻衣は流れに身を任せていた。

 かなり太陽の位置が高くなりギラギラと照りつける日差しを受けながらゆったりとした時間を二人で過ごす。   

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