『-one-』

SWEETNESS P24


「ハァ…」

 陸は麻衣の体を強く抱きしめた。

 どんなに堪えても自分の中の激しい感情は治まる気配もなく小さく息を吐き出した。

 麻衣は心配そうな顔で陸を見上げた。

「陸?ごめんね…?」

「麻衣が謝ることじゃないよ。俺が聞きたいって言ったんだから…」

 それにしてもやっぱり腹が立つのには変わりがない。

 自分で蒔いた種とはいえ芽生えた嫉妬を刈り取る方法までは考えていなかった。

(俺バカだなぁ…)

 陸が自己嫌悪に陥っていると麻衣は膝立ちになってワインに手を伸ばした。

 グラスに注いでから口に含むと陸の頬に手を添えた。

 陸はされるがままに上を向き少し唇を開いた。

 ゆっくりと重ねられた麻衣の口から冷たいワインが流れ込んでくる。

 流し込まれたワインを飲み干すと麻衣が遠慮がちに舌を差し込んできた。

 クチュと音を立てながら舌を絡める。

 少し舌を絡めてから唇を離した麻衣は熱っぽい息を吐く。

「でも陸が一番好き」

 麻衣なりに考えた末の陸を慰める行為だった。

(逆に気を使わせてどうするんだよ)

 陸は嬉しくて目を細めながら照れる麻衣の髪を撫でた。

「もっとちょうだい?」

 陸は麻衣の腰に抱きついて催促した。

 麻衣はワインを口に含むとさっきと同じように流し込んだ。

 だが口の端から一筋零れて顎を伝い陸の胸を濡らした。

「零れちゃった」

 陸は口元を手で拭おうとしたが麻衣が舌を出してペロッと口元に零れたワインを舐めた。

 雫を追い掛けるようにペロペロと舐めながらゆっくりと麻衣の唇が下りていく。

「はぁっ…っ」

 少しざらついた舌が胸を舐めると陸は思わず息を吐いた。

 陸は麻衣の髪に指を絡めながら舌の動きに意識を集中させた。

 ペロペロと舌で舐める動きはチュッチュッと吸い付くような動きへと変わっていく。

「ん…麻衣…」

 まだ恥ずかしさが残っているのか少しぎこちない動きが逆に快感を引き出していく。 

[*前] | [次#]


コメントを書く * しおりを挟む

[戻る]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -