『-one-』

SWEETNESS P19


「麻衣って初体験っていつ?」

(うわっ…直球すぎたか?)

 驚いた表情を浮かべた麻衣は不自然なほど視線を泳がせている。

 麻衣の事だからあまり強引に聞きだすのは逆効果なのは分かっている。

 その為にじっくりと雰囲気を作って来た。

 もしかしたら今のですべてが台無しになってしまったかもしれないと陸の体に緊張が走った。

「初体験って…」

「意味分かってるでしょ?」

 最初の反応の割にはそれほど嫌がってるわけでもなさそうだ。

 陸は意地悪っぽく笑いながら麻衣の鼻を突付いた。

「聞きたかった事ってそれ…なの?」

「うん。俺のも聞いたでしょ?」

「別に聞きたかったわけじゃないもん」

 拗ねたのか口を尖らせている。

(こんなことじゃ諦めないって…)

 麻衣の表情に気をつけながら頬に手を伸ばす。

 指の背を慎重に滑らせながら麻衣の顎に触れるとそのまま体を屈めて軽く唇を重ねる。

「ショックだった?俺のこと嫌になった?」

 唇を動かすと触れ合う距離で小さな声で呟いた。

 麻衣は少し黙っていたがやがて首を横に振った。

「良かった…」

 演技なんかではなく本心から出た呟きと同時にホッと安堵の息を吐く。

 それを見たからなのか麻衣は陸のズボンの裾を弄りながら小さく呟いた。

「私の…聞いても嫌にならない?」

「嫌になるわけないでしょ?だって麻衣は俺の事受け入れてくれたんだよ」

 陸は裾を弄る麻衣の手を少し力を込めて握った。

 一瞬だけ麻衣は体を強張らせた。

 だがすぐに緩めると陸の手を握り返して陸の肩に顔を埋めた。

「…二十歳(ハタチ)の時…」

 少しくぐもった声ははっきりと陸の耳に届いた。

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