『-one-』

SWEETNESS P15


 陸がサイドテーブルにアルコールとケーキをセットして着替えていると麻衣が花瓶を持って寝室に入って来た。

「ここにも飾るね」

 細身の一輪挿しをシャンパングラスの横に置いた。

 陸はパジャマのズボンだけ履くと部屋の電気を消して麻衣に近寄った。

 オレンジ色の淡い光がテーブルの辺りとベッドの上部だけを優しく照らし出す。

「おいで?」

 麻衣の手を取ってベッドへ誘う。

「汗かいてるからお風呂…」

「うん。後でね?」

 麻衣を正面から抱きしめ左手で腰を引き寄せると右手は指を絡めながら麻衣の左手を引き寄せる。

 麻衣の左手を口元まで引き寄せて手の甲にキスをした。

 そして親指から順番にすべての指に優しいキスを落としていく。

 その仕草をうっとりとした表情で麻衣は見つめていた。

 陸は麻衣の表情を眺めながらわざとゆっくりした動作で小指までキスすると今度は手の平にキスをする。

「麻衣」

 名前を呼んで唇を重ねる。

 直ぐに唇を離すと今度は麻衣の右手を取って同じようにゆっくりとした動作で優しくすべての指にキスを落とす。

 それはまるで何かの儀式のようにも見えた。

 すべての指にキスを終えた陸は麻衣の顔に額から順番にキスをして最後にもう一度優しく優しく触れるだけのキスを唇にして顔を離した。

「そうだ。麻衣も着替えたら?」

「着替えるの?」

 意外そうな顔をした麻衣が首を傾げた。

 確かにいつもなら服のままベッドへ引きずりこんでいるが今日はそういうわけにもいかない。

「そう。ケーキ食べるのに窮屈な服は嫌でしょ?その代わりこれ着て?」

 陸はベッドの上にある脱いだばかりの白いシャツを引き寄せて麻衣の肩に羽織らせる。

 その意味に気付いた麻衣は陸の腰に抱き着いて顔を上げた。

「えっちぃ」

「エッチな俺は嫌い?」

「ううん…好きぃ」

 クスクスと笑いながら麻衣は陸の胸元にキスをした。

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