『-one-』

SWEETNESS P14


「おかえり。チュッ」

「ただいま。チュッ」

 二人は玄関に入ると互いに言葉を交わす度にキスをした。

 アルコールの力を借りていつもよりも甘えんぼになっている麻衣は陸の腰に両手を回したまま動かない。

 陸は片手で麻衣の肩を抱きながら額や瞼や頬に何度もキスをした。

「おいで。ベッドで抱っこしてあげる」

「んー待って。お花枯れちゃう」

「花瓶に挿したらすぐおいで?待ってるよ」

「ん…っ…ちぅっ、ちゅっ…」

 二人とも一瞬でも離れがたくてそのまま唇を重ねた。

 甘えるように差し出される麻衣の唇を掬うように何度も何度も唇で甘く噛む。

「んぅ…陸ぅ…」

 麻衣に名前を呼ばれる度に陸は腰の辺りに甘い痺れを感じた。

 熱い吐息を漏らしながら二人は飽きることなく唇を重ね舌を求め合う。

 ズルッと麻衣の体がずり落ちるのを陸は腕で支えた。

「麻衣?大丈夫?」

「へへ…力抜けちゃったぁ…」

 麻衣はペロッと小さな舌を出すと陸の胸に顔を埋めた。

(あぁっ…このまま押し倒したい)

 その仕草が可愛くて体の熱が下半身に集中していく。

「ほら、お花枯れちゃうよ?」

 擦り切れそうな理性を繋ぎ合わせて麻衣の肩を叩いた。

 瞳を潤ませた麻衣は顔を上げると陸の顎にチュッとキスをしてから体を離して部屋へと上がっていった。

「ほんと…酒が入ると別人だなぁ」

 麻衣の後ろ姿を見送りながら思わず呟いた。

 いつもより大胆に体を密着させる麻衣に陸はタクシーの中からずっと理性との戦いだった。

 たった今も欲望のままに押し倒してしまうのを堪えるのに必死だった。

「俺…頑張れっかなぁ…」

 そう…あの質問を答えさせるまでは麻衣の無意識な小悪魔の誘惑に耐えなくてはいけなかった。

[*前] | [次#]


コメントを書く * しおりを挟む

[戻る]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -