『-one-』

SWEETNESS P9


 外の雨は小降りになり霧雨に変わっていた。

 CLUB ONEのドアにはCLOSEDの札が掛けられている。

 だがドアの向こう側では…。

 すっかり酔っ払っている7人がまだ王様ゲームを続けていた。

 オーナー権限で今日は休業になって他のホスト達はもう店に残っていなかった。

「俺が王様ですねー。んーじゃあ1番は4番の膝の上に座るー」

「響ー!ナーイス!って俺じゃねぇーー2番にしろ、2番にー!」

「あーもう悠斗うるさい」

 悠斗に襟元を掴まれて揺さぶられている響はうっとうしそうに払う。

「あー私が4番だぁーー!」

 麻衣が持っている割り箸を高く掲げる。

 目の周りを赤くして瞳をトロンと潤ませている。

「ん…俺が1番」

「げぇぇーーっ!!」

 陸が自分の番号を確認すると悠斗は頭を抱えて床にしゃがみこんだ。

「あーもう悠斗うるさい!!」

「二人ともうるせぇ…」

 響がまたボソッと呟くと二人が睨みあったが素に戻った誠に頭を叩かれて二人とも大人しく席に戻った。 

「って俺が座ったら麻衣潰れちゃうね?まー逆もアリって事でおいで?」

 陸は自分の膝の上をポンポンと叩いた。

 パァッと顔を輝かせた麻衣はぴょんと陸の膝の上に横向きに座る。

「っだよ!それーー!そんなのルール違反じゃねぇかよぉぉぉ!」

 悠斗は立ち上がり二人を指差しながら腕を上下に大きく振っている。

 陸は麻衣の腰に手を回して支えると悠斗を見てフンッと鼻で笑った。

 麻衣は頭をコテンと陸の肩に預けて笑っている。

「っだーー!響!お前が王様だろー!何とか言えっ!」

「あーもう悠斗うるさい」

 響は顔をしかめて両耳を手で塞いだ。

 悠斗は悔しそうに地団駄を踏むと「次だ次!」とまた割り箸を回収する。

「まだやんのかよ…」

 誠だけがうんざりしながら小さく呟いた。

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