『-one-』

僕の可愛いモンスター P6


「麻衣?お水飲んで?」

 今日はいつもに増して上機嫌の麻衣に水を勧める。

「でね、でね!」

 陸が横に座ってから続く驚異的なマシンガントーク。

 話は飛び飛びで何の話題かもよく分からない。

 今はどうやら今日あった飲み会の話をしてくれているらしい。

「どっばぁって零れちゃってぇ!」

「分かったから、先にお水飲んで」

 喋り続ける麻衣に少し強引にグラスを持たせる。

 この状態の麻衣を見るといつも不安になる。

 会社の飲み会でとんでもない事をやらかしたりしてないだろうか。

 こうなる事が分かってるんだから少し控え目にしておけばいいのにとさえ思う。

「そしたらね!こーなって…」

 話を続けていた麻衣が手を動かした。

 グラスの中の水が陸めがけて飛んでくる。

 ビシャァッ!

 陸は見事に顔に水を掛けられた。

(グラスを持たせた俺が悪いのか?)

 陸は手で顔の水を拭い目を開ける。

 麻衣がグラス片手にキョトンとしている。

「麻ー衣?」

 陸は厳しい表情を作ると麻衣の手からグラスを抜き取りテーブルに置いた。

 スタッフが慌てておしぼりを持ってきて陸に手渡す。

「ごめんにゃ…しゃい」

 おしぼりで顔を拭いていた陸は吹き出しそうになった。

 見れば首をすくめて上目遣いでこっちを見ている。

(…めちゃめちゃ可愛いんですけど)

「大丈夫。少し濡れただけだよ」

 安心させるように麻衣の頬を撫でる。

 麻衣にはとことん甘いんだよなぁとヘラッと口元を緩めてしまう。

 こんな可愛い麻衣を見たいと思うから結局のところ麻衣に酒を飲まないように強く言えない自分がいる。

(でも他の男には見せたくないし…でも家じゃここまでなるまで飲まないしなぁ…)

 陸が考え事をしていると異変に気付いた。


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